そんな彼ともお別れが近づいている。
もう二ヶ月もあっていないし、連絡もない。
お別れが近づいている。
「痛かったら、手、あげて下さいね」
奥歯から二番目の歯はもう神経まで達しているようだった。
こうなるともう抜かざるを得ない。
俺とあいつももういろいろ根本まで達しているのかもしれない。
関係を終わざるを得ないのだった。
「あ、痛かったですかー」
歯科医師さんが少し焦ったように問うた。
どうやら目尻に少し涙がたまっていたらしい。
いいえ、と俺は間抜けに開いた口のまま首を少し横に振った。
歯科医師さんは笑顔で頷いた。
08/12/03