うさぎトレーナーシリーズ

□うさぎトレーナーと愉快な仲間たち
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1・出会った人はトレーナー嫌い!!

ハクダンシティで過ごすこと、1週間。
1日目は、情報収集とハクダンシティの探索をした。
情報によると、ハクダンジムは虫タイプのジム。
ジムリーダーはビオラさんというらしい。
だから、戦うメンバーはしょうれん(ヒトカゲ)とめいりん(デデンネ)が中心。
もちろん今後に向けて、他のみんなの特訓も忘れない。
5日目には、なんと、れいしょうがルカリオに進化し、ゆーりんがニンフィアに進化し、しょうれんがリザードに進化した。
でも、油断は禁物!
というわけで、ジムに予約を取り今日まで特訓してきた。
そして、今日が初のジム戦。

「みんな、頑張るよ!えいえいおー!!」

拳を空に突き出して言う。

《おー!!》

みんなも真似をした。
そこへ・・・、

クスクスクス・・・。

笑い声がした。

「だ、誰!?」

現れたのは、黒髪に紅い瞳の背の高いキレイな男の人。

「あんまり君たちが楽しそうだったから、つい笑っちゃった。ごめんね」

「あ、いえ」

「君はトモダチと仲が良いんだね」

「はい!みんな大好きです!」

私がそう言うと、男の人は嬉しそうな顔をする。

「トモダチも君のことが大好きだって言ってるよ」

「ありがとう、みんな!」

《可愛い妹だしな》

「お兄ちゃんがたくさんいるわね、私」

みんなと笑い合う。

「君、トモダチの言葉が分かるの?」

「えっと、れいしょう・・・あ、このルカリオの言葉だけですけど」

「ルカリオだけ?」

「はい。なんか波動が同じだからだとか・・・だから、よく通訳してもらってるんです。なんとなくは分かるんですけど、分からない時もあるので」

《まぁ、通訳なしで話しても通じてるがな》

「それでもちゃんと正確に分かりたいんだもん!」

《そこがユウリンの良いところだな》

「理解しなきゃ、何も始まらないからね」

「理解・・・」

「どうしました?」

「いや、トモダチのことを理解したいなんて言う、ボクら以外の人間を初めて見たからね」

《おい。トモダチとは、ユウリンの友達という意味ではなく、俺たちのことを言っているのか?》

「うん。そうだけど・・・?」

《俺はアンタと友達になった覚えはない!》

「れいしょう!ダメだよ、そんなこと言ったら。それに、私は嬉しいよ。れいしょうたちに友達が増えるの」

《ユウリン・・・》

「ごめんなさい!れいしょう、あんまり人が好きじゃなくて・・・でも、とっても優しいんです!だから、嫌いにならないで下さい」

「人が好きじゃない?どうして?」

「・・・ごめんなさい。答えられないです」

《他人が関わるな》

「れいしょう・・・」

《ユウリン、そろそろジム戦の準備をしに帰るぞ》

「ジム戦?君はトレーナーなの?」

「あ、はい。まだ新人ですけど・・・」

そう言った途端、男の人の雰囲気が冷たく変わった。

「トモダチを大好きだと言っておきながら戦わせるとは、酷い人間だな」

さっきまでの口調と違う。
・・・怖い。

《貴様!ユウリンを侮辱するのか!》

れいしょうが私をかばうように、前へ出て男の人と対峙する。

「君もかわいそうだな。戦わさせられるとは」

《なんだと!?》

「・・・ポケモンバトルは、戦うのが目的じゃありません。みんなとの絆を深める大切なことです!みんなを傷つけるためだけのものじゃないです!」

『戦わされて』という言葉が嫌で、怖い気持ちを奮いたたせ、なんとか喋る。

「だが、実際に戦ってるのはトモダチだけじゃないか。君たちトレーナーは命令するだけだ」

『命令』・・・。
その言葉に私はキレた。

「命令って・・・!そんな言い方しないで!それじゃ、みんなが友達じゃないみたいじゃない!私たちトレーナーは、確かにポケモンバトルでは指示を出すだけよ。でも、その指示だって、みんなと頑張りたいから考えてるの!ただポケモンを戦わせるためだけの、利用するような人間と一緒にしないで!!」

れいしょうたちの親を殺した密猟者たちみたいに、ポケモンを道具みたいに扱う人達と一緒にされたくない!!

《ユウリン、落ち着け!ゆーりん(ニンフィア)ユウリンを!》

《フィア〜!フィフィ〜》

「ゔ〜・・・!」

叫んで泣く私を、ゆーりんが慰めてくれる。
ふと、他のみんなはと思って見ると、みんな、男の人に怒っていた。

「グスッ・・・止めなきゃ」

《フィア!フィ〜!》

「ダメ。みんなのこと、嫌いになってほしくないもの」

ゆーりんは止めようとするけど、私はみんなに静止の声をかける。

「みんな、やめて!!」

みんなは納得がいかないのか、不機嫌そう。

《ユウリンを傷つける者を、許すわけには・・・》

「私は平気だよ。それに、みんなに色んな性格の子たちがいるように、人間も色んな人がいるわ。だから、私のこと嫌う人だっている。でも、私にはみんながいるから大丈夫!」

《ケロ!ケロケロ!》

「まりん(ケロマツ)、どうしたの?」

れいしょうを見るが、言いしぶっている。

「れいしょう教え・・・」

「君を嫌う人間がいるとは、どういうことかと聞いている」

《貴様!!》

「そっか。ごめんね、まりん。大事なこと話すの忘れてた。私ね・・・」

《ユウリン!!それは、話すには場所が適してない。それに、ジム戦前に話さない方がいい》

れいしょうに言われ、それもそうかと思う。

「どーしたわけ?」

「何か問題でも?」

知らない人が2人現れた。
赤茶色の髪の白いニット帽を被った少年と、軽くウェーブかかった茶色の髪を横で結んだメガネをかけた男の人。
どうやら、黒髪の男の人の知り合いみたい。

《今のうちに行くぞ》

れいしょうに言われ、迷う。

《相入れない人間はいる》

うん・・・。知ってるよ。
どんなに話しても、分かってもらえないこともあるって。
でも・・・、

「君、トレーナーなんだって?」

白いニット帽の子が、笑顔で聞いてきた。
けど、目が笑ってない。
私のことを良く思ってない、嘘の笑顔だ。
小さい頃から、こんな表情の人間を見てきたから分かる。

「そうよ。だけど、嘘の笑顔で話しかけてこないで。それなら、そっちの人みたいに冷たくされた方がマシだわ。そっちの方がハッキリしてるもの」

私が言うと、3人は驚いた顔をする。
少年が驚くのは分かるけど、どうして他の2人も驚くんだろう?

《フィ〜、フィ〜ア!》

《ユウリン、ゆーりんが着替える時間が少ない、と言っている》

「ゆーりんはオシャレだもんね!でも、私はこのままでも・・・」

私の今の格好は、ピンクのTシャツに水色のジーンズ。
髪もツインテールから、ポニーテールに変えている。
ちなみに元の服は、襟とスカートが淡いピンクの白のアンサンブル。
帽子も、元々かぶってた淡いピンク色のカノチエを被ろうとしたら、合わないからと、ゆーりんに反対され、ハクダンシティのブティックで白のキャスケットを買った。

《ユウリン、ジム戦とは俺たちとユウリンの頑張りや絆を見せる、大事なバトル。特訓用の服ではなく、旅の服で挑むぞ》

私の格好とジム戦は関係ないと思うんだけど・・・みんな、着替えてほしいみたい。

「分かった!ポケモンセンターで着替えてくるね!」

みんなに言って、ボールに戻す。
めいりん(デデンネ)は肩の上に乗る。

「あの、それじゃあ・・・」

3人に別れを言おうとすると、

「ワタシたちもジム戦を見てもかまわないか?」

黒髪の人に尋ねられた。
ポケモンバトルが嫌いで、そんなことをするトレーナーも嫌いみたいなのに、どうしてだろう?
でも、ちゃんと分かってもらいたい。
ポケモンバトルが、ポケモンを傷つけるだけの行為ではないことを。

「私は良いですけど、ジムの方に確認しますね」

そう答えて4人でポケモンセンターに戻る。
ハクダンシティを探索した時に、アタッチメントのローラースケートを貰ってたけど、この人たちを走らせるわけにはいかないから歩いて戻った。
3人にはポケモンセンターのロビーにいてもらい、部屋で着替える。
髪もてっぺんは2つ小さく輪っかを作り、下の方でツインテールにし、帽子をかぶる。

「よし!準備OK!」

急いでロビーに下りる。

「お待たせしました!行きましょう!」

そこでなぜか黒髪の人が顔を赤くし、少年に何か言われている。
メガネの人は、ため息をついていた、ということがあった。
そして、4人でハクダンジムへ行く。
ここが、始まりの1歩・・・。
頑張る!!




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