うさぎトレーナーシリーズ
□うさぎトレーナーと愉快な仲間たち
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3・ユウリンの過去と新たな仲間
「ポケモンの回復をお願いします!」
ポケモンセンターに着くと、すぐにジョーイさんにみんなを預ける。
「あの・・・」
メガネの人が遠慮がちに声をかけてきた。
「なんですか?」
「待っている間に、私たちと話をしませんか?」
「良いですよ!あ、でもママに連絡しなきゃいけないので、ちょっと待ってもらっても良いですか?」
「ええ、かまいませんよ」
そう言ってくれたけど、メガネの人は一瞬だけ悲しそうな辛そうな顔をした。
あれは、ママにって言った瞬間だった。
なにか、あるのかしら?
でも、深く聞いちゃダメよね。
「ママ!バグバッジ、ゲットできたよ!」
画面越しに、バグバッジをママに見せる。
「おめでとう!すごいじゃない!」
「えへへ〜、みんなが頑張ってくれたからね!」
「旅が順調で良かったわ。困ったこととかない?」
「大丈夫よ。みんながいるもの!それに、ハクダンの森を通る時は一緒に旅立った子たちも一緒だったんだよ!」
「そう!今は?」
「今は別々。でも、みんなプラターヌ博士に会いに行くからミアレシティでまた会うと思う」
「博士によろしくね」
「うん!あ、今、ここで知り合った人を待たせてるから、もうきるね」
「そうなの?それなら仕方ないわね。それじゃあ、また連絡してくるのよ」
「はーい!」
会話を終え、ロビーにいる3人のところへ行く。
「お待たせしました」
「ううん、大丈夫だよ」
黒髪の人が応えてくれるけど、雰囲気が最初に戻ってる。
私がトレーナーだって知った時の、冷たい雰囲気じゃない。
「ああ、ごめん。怖かったよね・・・」
私の戸惑いが分かったのか、そう謝ってくれる。
その表情は弱りきっていて、なぜか頭にしゅーんとなったヨーテリーの耳の幻が見えた気がした。
「い、いえ!確かに怖かったですけど、大丈夫です!」
そこで、他の2人が笑い出す。
「こ、怖かったけど大丈夫って・・・」
「面と向かって怖いと言ってくる人は初めて見ました・・・」
「お前たち、笑うな」
あ、また雰囲気が冷たい。
「あの〜」
「ごめん!また・・・」
「別に良いですよ。どっちもあなたですし、気にしません!」
そう言うと、ハッと目を見開く3人。
そこに、みんなが回復したことを知らせるアナウンスが入った。
「あ、お話しできなくてごめんなさい!私、みんなを迎えにいってきます。それじゃあ!」
カウンターに急いで向かう。
「はい。みんな元気になりましたよ」
「ありがとうございます!」
ジョーイさんから、めいりん(デデンネ)とボールを受け取る。
「それじゃ、話をしなきゃね」
まりん(ケロマツ)のボールをなでながら言う。
「待って!ボクたちの話を聞いてほしいんだ」
部屋に戻ろうとすると、黒髪の人に声をかけられる。
他の2人も後ろで真剣な表情をしていた。
こんな表情の話なら、人の多いロビーはやめておいたほうがいいわよね?
「じゃあ、私の泊まってる部屋で聞いてもいいですか?」
「うん!ありがとう」
とりあえず、部屋に戻ったらみんなをボールから出さなきゃ。
でないと、話せない。
部屋に戻り、みんなをボールから出してもいいか3人に確認してから、みんなを出す。
《ジム戦の時もそうだが、なぜこの男たちがここにいる》
れいしょう(ルカリオ)が不機嫌に言う。
まりん以外のみんなも、警戒している。
「あのね、聞いてほしい話があるんだって。だから・・・」
《分かった》
そう言うと、れいしょうは私の隣に座る。
他のみんなも足下にすり寄ってくる。
「ごめんね。ありがとう」
《礼などいらん。分かっているからな。まりん、お前にもちゃんと後で教えてやるからな》
れいしょうがまりんに声をかけると、まりんは頷く。
《ユウリンに話とはなんだ?》
「れいしょう、それは私が聞くことよ?」
《先程のような言葉をユウリンに言うなら、部屋から全員でたたき出す》
「そのことは、ごめん!謝るよ。君たちの大事な子に酷いこと言ってごめん」
「オレも嫌な雰囲気で近づいてゴメン」
「どうか、許してもらえませんか?私たちにも事情がありまして・・・その事情をお話ししたいんです」
黒髪の人と少年が謝り、メガネの人が真剣に言う。
「みんな、聞こう。私は、みんな仲良くしてほしい。それに、事情が分かれば何か変わるわ!」
みんなに笑顔で言うと、渋々ながらも納得してくれた。
「実はね、ボクたちは外界から接触をせずに人間に傷つけられたトモダチ、ポケモンと一緒に過ごしてきたんだ。それで、トモダチを傷つけるバトルをするトレーナーが嫌いなんだ」
黒髪の人がそう話す。
「オレも同じ。でもさぁ、君は違うって思ったんだ」
少年が言う。
「私が違うって、どうして?」
「あなたは、さっきのジム戦でポケモンが傷つくたびに、強く手を握りしめてましたよね。自分のポケモンだけでなく、相手のポケモンの時も」
メガネの人が話す。
「あ、はい」
「ですが、疑問もあるんです。そこまでポケモンを大切にしているのに、なぜバトルを?」
尋ねられて、どうしようか考える。
「夢のためです」
「夢?君の夢って何?」
黒髪の人が聞いてくる。
「私の夢は、ポケモンマスターになって、みんなを護る力が欲しいんです」
「ポケモンマスターになって、ポケモンを護る?」
少年が不思議そうに言う。
「はい。ポケモンマスターって、トレーナーの頂点で尊敬される立場なんです。だから、そんな存在の言葉なら聞き入れてくれると思うんです。ポケモンを弱いからって捨てたり、争いの道具にしたり、密猟したりするのは、いけないことだって」
「それじゃあ、あなたはポケモンのために?」
「いいえ。自分のためです。そんな悲しくて辛い思いを、みんなにしてほしくないから・・・そんな私の夢に、みんな協力してくれてるんです」
みんなが同意するように声をあげる。
「ボクたちも、一緒に旅をしちゃダメかな?」
「え?」
「君となら、トレーナーをちゃんと理解できそうな気がするんだ」
「オレも!良いかな?」
「私もかまいませんか?」
黒髪の人を筆頭に、そう頼まれる。
ど、どうしよう・・・。
でも、トレーナーのこと、ちゃんと理解してもらいたいし。
《別にユウリンじゃなくても良いだろう?お前たちだけで旅をして、トレーナーと接していけばいい!》
「この子が良いんだ!君たちを愛し、君たちに愛されてる彼女と旅をしたい」
れいしょうが言うと、黒髪の人が必死に言う。
「分かりました。良いですよ。一緒に旅しましょう!」
「ありがとう!」
「ありがとね!」
「ありがとうございます!」
3人にお礼を言われる。
《ユウリン、・・・大丈夫なのか?》
「大丈夫だよ。みんなのこと大好きでトレーナーのこと嫌っちゃうくらい優しい人たちだもの。みんなにも、優しいよ!」
《俺たちのことじゃない!ユウリンの心配をしてるんだ。一緒に旅立ったあの子たちは友好的だったから良かったが、こいつらは分からないだろう!?》
「彼女を心配?」
黒髪の人が不思議そうに尋ねる。
そうだよね。普通はおかしいと思うよね。
まりんにも話さなきゃいけないし、この人たちにも、って、私まだ名前も知らないわ。
「れいしょう、落ち着いて。あの、私、まだあなたたちの名前を知らないんですけど・・・あ、私はユウリンです!」
「そう言えば名乗ってなかったね。ボクはR」
「オレはコウダイ。ダイちゃんって呼んでね☆」
「私はリジュンと言います」
黒髪の人がR(アール)さん、少年がコウダイ君、メガネの人がリジュンさん。
「じゃあ、私の友達で仲間を紹介しますね!ルカリオのれいしょう。ニンフィアのゆーりん。デデンネのめいりん。リザードのしょうれん。モンメンのえるしょう。ケロマツのまりんです!」
「みんなに名前付けてるんだね」
「はい!まりん以外はたまごの時から一緒なので生まれた時に付けたんです。まぁ、ゆーりんは私じゃなくて、お兄ちゃんが付けたんですけど」
「同じ名前でおかしいなと思いましたが、お兄さんが付けられたんですか」
「でも、何で?」
《性格が似ているからだ。まじめで打たれ強い。もっとも、ゆーりんの方がユウリンより、しっかりしているがな》
「れいしょう!私だって、しっかりしてるわよ!」
《あの頃よりかはな》
「あの頃?」
「あ、えっと・・・」
《気にするな》
言おうとすると、れいしょうに遮られる。
「どうやら、まだ信用はされてないようだね」
悲しそうに言うRさん。
ポケモン大好きなのに、信用されてないのは辛いわよね。
それに、れいしょうは私を気遣ってる。
ここは、私から話さなきゃ!
「れいしょう、心配してくれてありがとう。でも、私は話したい。まりんにも話さなきゃいけないし、Rさんたちもこれから一緒に旅する仲間になるんだもの。私やみんなのこと、知っててほしいよ」
《まずは、まりんだけに話したらどうだ?》
「ううん。みんなに話したい」
れいしょうだけでなく、まりん以外のみんなを見渡して言う。
私の想いを感じとってか、みんな頷いてくれた。
「話しにくいことなら、無理には聞かないよ?」
Rさんが優しく言ってくれる。
「聞いて下さい。楽しい話じゃありませんけど・・・」
まりんを膝に乗せ、私は話し始めた。
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