うさぎトレーナーシリーズ

□うさぎトレーナーと愉快な仲間たち
5ページ/9ページ


「まりん(ケロマツ)。あなた以外の他の仲間はね、みんな、たまごの時に密猟者に親を殺された子たちなの」

私の言葉に、まりんもRさんたちも目を見開く。

「しょうれん(リザード)の群れが襲われてる時に、たまごの時から声が聞こえてた、れいしょう(ルカリオ)の叫びに私が気づいて、みんなを密猟者から助けられたの」

「あの、リザードの進化前ヒトカゲはカントーのポケモンですよね。ニンフィアの進化前のイーブイはカントーにもいますが、他のリオルはシンオウ。モンメンはイッシュ、デデンネはカロス地方のポケモンのはずですが?」

「はい。その密猟者たちは色んな地方でそんなことをしてたみたいで・・・それで、カントーにいる時に捕まえられたんです」

「カントーにいる時?ユウリンちゃん、カロス出身じゃないの?」

コウダイ君、ダイちゃんに聞かれる。

「うん。私はカントーのマサラタウンにいたの。カロスには、つい最近引っ越してきたんだ。その前はイッシュ地方にいたよ」

「イッシュ?ボクたちはイッシュ出身だよ」

Rさんが教えてくれる。

「そうなんですか?同じですね」

「それにしても、密猟者に出会うなんて大変でしたね」

リジュンさんが心配そうに言う。

「そうですね。でも、みんなを助けられたから良かったです!博士には怒られちゃったけど。あ、博士っていうのは、カントー地方の博士でオーキド博士っていうんですけど」

「あれ?博士にはって、ユウリンちゃんの母親には怒られなかったの?」

ダイちゃんの質問に、まりんを撫でていた手が止まる。

「ユウリン?どうしたの?」

Rさんが心配そうな顔で、俯いた私の顔をのぞきこむ。

「ゴメン!聞いちゃいけないことだったみたいだね」

ダイちゃんが謝ってくる。
リジュンさんは不思議そうな顔をしているのが見えた。
リジュンさんはママに連絡したこと知ってるから、母親が怒らないことがおかしいと思ってるんだろうな。

「・・・私、マサラタウンの森の中で赤ちゃんの時に保護されたんです」

《ユウリン!そんなことまで話す必要はない!》

「ううん、れいしょう。ここから話さないと、私のダメなところも説明できない」

「ユウリンのダメなところ?」

「はい。Rさん、ダイちゃん、リジュンさん、私、一部の人間が怖いんです」

私の告白に、3人は驚くけれど、話を続けた。
一気に言ってしまわないと、話せなくなりそうだから。

「保護された私は、オーキド博士に引き取られました。というのも、森にいる間はポケモンたちが私を守り、育ててくれていたみたいなので、ポケモンのいる研究所の方が良いだろうって。でも、どこから来たかも分からない私は町の子たちから『親のいない変な子』って言われてたんです。その子たちの親も、博士の前では私にもニコニコ話してるのに、私だけの時は『うちの子に近づかないで』って。まぁ、仕方ないですよね。どこの誰かも分からない人間なんですから。だから、ダイちゃんの笑顔が嘘だって分かったの。その人たちの笑顔と同じだったから」

「・・・ゴメンな」

「謝らないで!しょうがないよ。ダイちゃんたちは、トレーナー嫌いなんだから」

ダイちゃんが申し訳なさそうな顔で謝るので、慌てて言った。

「それに、博士も優しかったし、同じ町に住むサトシって男の子や、そのママさん、博士の孫のシゲルも優しくて一緒に遊んだりしてたんですよ。シゲルは博士の孫だから、自分が側にいれば、子供たちは何も言えないって言って、側にいてくれたし、サトシも私をかばって怒ってくれてたし、ポケモンたちも仲良くしてくれてました。それに、今は新しい家族がいますしね。6歳の頃に出会って、私を養子にしたいって言ってくれたんです。パパにママ、それに歳の離れたお兄ちゃんができました。今はパパとお兄ちゃんはイッシュにいて、私とママはカロスにいるんですけどね。ママは元サイホーンレーサーで、その指導のためにこっちに来たんです。引っ越した翌日に旅立つなんて、思いもしなかったんですけど。優しい人たちに囲まれて、私、幸せだと思います。きっと、そんな人たちがいなければ人間が大嫌いだったかもしれません。でも、まだ怖いんです。密猟者たちみたいな酷い人間がいるってことを知ってるから、だから、私・・・大人が特に大人の男の人が怖いんです」

「・・・ボクたちと話す時、ルカリオが言ってたのは、このことだったんだね」

Rさんの言葉に頷く。

「あの、ではなぜ私たちとの旅を許してくれたんですか?」

リジュンさんが遠慮しながら聞いてきた。

「Rさんたちは、違うって思ったから。ポケモンが大好きだし、それに、私、いつまでも怖がってばかりでいたくないんです!私も、強くならないと・・・!」

顔を上げて、力を込めて言う。
すると、みんなが私の頭を撫でてくれた。
そして、

「ボクも頭を撫でて良い?」

「へっ!?は、はい!お願いします!」

Rさんに聞かれ、緊張しながら答える。
フワッと優しくて大きな手が頭を撫でてくれる。

「オレもいい?」

ダイちゃんにも頷く。

「私もいいですか?」

リジュンさんにも言われたので、頷いた。

「あなたは私たち大人に慣れることを、私たちはあなたからトレーナーについて学ぶことにしましょうね」

優しい声で言われて嬉しかった。

「はい。これから、よろしくお願いします!」

「こちらこそ!」

Rさんが言い、ダイちゃんとリジュンさんが笑顔で頷く。

「ところでさぁ、ユウリンちゃん、オレにはタメ口なのに、Rとリジュンには敬語だよね。Rとリジュンが頭撫でる時も緊張してたみたいだけど、オレの時は大丈夫そうだったじゃん?なんで?」

「だって、ダイちゃんは大人じゃないでしょ?私の少し上くらい?」

その私の発言に、3人は笑いだす。

「えっ!?なんで笑うんですか?」

「ユウリンちゃん。オレ、こう見えても18!こん中じゃ、一番年上なんだよな」

「へっ!?Rさん大人じゃなくて、リジュンさんが1番年上じゃないんですか!?」

その言葉に、ダイちゃんはお腹をかかえて笑いだし、Rさんは肩をふるわせ、リジュンさんは眉間にシワをよせている。

「ユウリン、リジュンはコウダイの2コ下の16。ちなみにボクは14だよ!まぁ、気にすることないよ?いつも間違われてることだしね」

Rさんはそう言ってくれたが、リジュンさんに申し訳ない!

「ごめんなさい!リジュンさん!」

青ざめながら、頭を下げる。

「別に気にしてないですから、大丈夫ですよ。頭を上げて下さい。Rの言う通り、よくあることですしね」

「でも、嫌な気分になったでしょう?」

「まぁ、この中で1番精神的に大人なのは間違いないので、そう見えるんでしょう」

「確かに、落ち着いた感じがします!」

「ええ。なので、気にしなくて良いんですよ」

私の言葉にリジュンさんはニッコリと微笑む。
Rさんは不機嫌そうな顔で、ダイちゃんは苦笑いしていた。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ