うさぎトレーナーシリーズ

□うさぎトレーナーと愉快な仲間たち
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4・ライバル

結局その日は、ジョーイさんに許可をもらって私の泊まっている部屋でみんな過ごした。
今までどこで寝泊まりしていたかRさんたちに聞くと、ずっと野宿していたと教えてくれた。
確かに、トレーナーが利用するポケモンセンターはRさんたちにとって嫌な場所だ。
だけど、これからは一緒に泊まりましょう!と言ったら、Rさんたちは苦笑いをしていた。
でも、トレーナーカードを持ってないRさんたちは私と一緒じゃないとポケモンセンターで宿泊できないもの。
あと、Rさんとダイちゃんにはタメ口、リジュンさんには敬語で話すことにした。
3人には敬語で話そうとしたら、Rさんとダイちゃんに拒否された。
でも、年上だから敬語が必要です!とタメ口を断る私に、リジュンさんが、それでは敬語を身につけるために私には敬語で話したらいいですよ、と説得された。
そんなことを色々決めながら、寝て(Rさんたちは寝袋、私はベッドで休んだ。1人だけベッドなのは悪いから、私も寝袋で〜って言ったけど、3人から断られた)今日は、ハクダンシティを出て次の町に向かう。
ハクダンシティを出る前に、旅のための買い物をして、町を出ようとした時に声をかけられた。

「あら、あなた!」

「えっと・・・私ですか?」

「ええ。プラターヌ博士からポケモンを貰った子供たちの1人でしょ!」

「は、はい。そうですけど・・・」

「ああ!バグバッジ!」

ゲットできたのが嬉しくて、ケースから出していたバッジを見て女の人が言う。

「ビオラに勝つなんて、あなたたちすごいじゃない!」

「ありがとうございます!」

「ところで、あなたはどなたですか?」

リジュンさんが女の人に尋ねる。

「あっ!ごめんなさい。挨拶が遅れたわね。わたし、パンジーと言います。ジムリーダー、ビオラは妹でわたしはジャーナリストなの!わたし、ミアレシティの出版社にいるから、よければ遊びに来てね!」

そう言って、パンジーさんは去って行った。

「ミアレシティは、これから行く4番道路の先で次の目的地ですね」

リジュンさんがタウンマップを確認して言う。
あれから相談した後、タウンマップはリジュンさんに預けたんだよね。

「とりあえず、プラターヌ博士に挨拶が先だよね。みんなのことも相談したいし」

「そうだね。じゃあ、行こうか」

Rさんが促し、私たちは4番道路に足を踏み出した。

「キレイな花畑!あ、迷路みたいな道!!」

「ユウリン!迷ったらいけないから、手を繋ごう?」

キョロキョロと周りを見ながら歩いていると、Rさんにそう言われた。

「じゃあ、ダイちゃんとリジュンさんが手を繋ぐ?」

そう提案すると、2人はなんとも言えない顔。

「お前ら、そうしたらどうだ?」

あ、Rさんってばなんかいたずらっ子みたいな顔。
れいしょう(ルカリオ)みたい。
あの子もイタズラする時、こんな顔するんだよね。
イタズラ好きだから。

「オレは1人で平気!」

「私もです!」

2人は即断り、私はRさんと手を繋いで歩く。
その後ろを2人が歩いてくる。
花畑には、たくさんのポケモンがいた。

「あっ!あのポケモンはミツハニーで、あの子はエネコだって!」

ポケモン図鑑で確認しながら、めいりん(デデンネ)といっぱいいるねー!《ね〜!》と笑い合う。
そんな私たちを3人が微笑ましく見ていることは、周りの景色やポケモンに夢中で気づかなかった。

「あ、ユウリンちゃん。でっかい噴水があるよ!」

ダイちゃんが指差して教えてくれる。

「本当だ!大きい〜!!近くで見よう!行こう、Rさん!」

「うん!」

Rさんの手をひっぱりながら、走る。
遠目から見ても大きな噴水は、近くだともっと迫力があった。

「ペルルの噴水っていうんだ。受け入れ、調和を生みだす・・・」

「どうしました?」

噴水の説明書きを見て、考えているとリジュンさんに声をかけられた。

「え〜と、この噴水みたいになれたらなぁって思ったんです」

「この噴水みたいに?なんで?」

「うんとね。私も色んなことを受け入れて、みんな・・・ポケモンと人間の調和を生みだしたいなぁって・・・」

ダイちゃんに私の考えを話す。
自分で言ったことだけど、なんだか恥ずかしくなってきて下を向いた。

「すごく良いことだと思うよ。ユウリンならできると、ボクは思うな」

Rさんがかかんで、私の顔をのぞきこみながら言う。

「ありがとう、Rさん」

「うん!ユウリンは赤くなった顔も可愛いね!」

「あ、あんまり見ないで・・・恥ずかしいから」

「可愛いから、もっと見てたいのに・・・」

顔をそむけると、Rさんの残念そうな声が聞こえる。

「はいはい。分かりましたから、行きましょうか!あ、ユウリンちゃん。私もあなたなら、できると思いますよ」

「うん。オレも!」

「ありがとうございます!」

みんなに応援してもらえて、嬉しい。
途中でバトルを挑まれたり、庭師のおじさんにパンテール街道(4番道路の別称)の自慢の迷路のような庭園の名称を教えてもらったり(ヘイメンキカガクシキ庭園というみたいだけど、難しくてよく分からなかった)、途中で野宿したり(食事は私とリジュンさんが担当)、まだ見たことがなかった、スボミー・レディバ・ラルトスも見た。

「あっ、あのポケモン、さっきと花の色が違う」

「色違いかな?」

花につかまって風にのっているポケモン、フラベベを見る。

「え〜と、違うみたい。花畑によって花の色が違うんだって。私たちは赤と黄色、オレンジと白を見たよね」

Rさんにそう答える。

「赤いのは赤い花の咲いてる花畑で、黄色いのは黄色い花が咲いてる花畑でよく見たね。オレンジと白は一匹ずつしか見れなかったけど」

ダイちゃん、見た場所覚えてるんだ。すごいなぁ!

「フラベベはフェアリータイプですか」

「はい。私のゆーりん(ニンフィア)もフェアリータイプで、進化した時はビックリしました!」

そう。イーブイは色んな進化系をもつポケモン。
炎の石で炎タイプのブースター。
水の石で水タイプのシャワーズ。
雷の石で電気タイプのサンダース。
の石進化。
それから、朝から昼の間ならエスパータイプのエーフィ。
夜なら悪タイプのブラッキーの懐いての進化。
あとは、苔むした岩の近くでは草タイプのリーフィア。
氷に覆われた岩の近くでは氷タイプのグレイシアの特殊な環境での進化。
私のゆーりんは昼頃に進化が始まったから、てっきりエーフィに進化すると思っていた。
でも、ゆーりんはイーブイの進化系の中でも見たことのない姿に進化したから、急いで図鑑で確認したっけ。
ニンフィア、むすびつきポケモン。
フェアリータイプが何に強くて、何に弱いかも分からないから、ゆーりんには色んなタイプとバトルをしてもらっている。
今のところ、毒タイプに弱いことが分かった。
それが分かった時は、2度目の毒攻撃がきた時に思わずかばって私が毒を受け、3人から心配されてリジュンさんには叱られた。
数日かけてパンテール街道を行くと、ゲートが見えてきた。

「あのゲートをくぐれば、ミアレシティです」

リジュンさんが教えてくれる。
とうとうミアレシティ。
このカロス地方の博士、プラターヌ博士に会えるんだ。
どんな人だろう?
カントー地方のオーキド博士みたいに、おじいちゃんみたいな人かな?
イッシュ地方の博士はアララギ博士っていうけど、会ったことはない。
ゲートに近づくと、2人の人が入り口にいる。
男の人と女の人。

「入り口にいられちゃ、迷惑だよな」

「誰かを待っているようにも見えますね」

ダイちゃんとリジュンさんが話している。

「大丈夫。ボクの手をギュッと握ってて!」

Rさんが優しく言ってくれる。
私の不安、分かってくれてるんだ。
Rさんと手を繋ぎ、ゲートに向かった。



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