うさぎトレーナーシリーズ

□うさぎトレーナーと愉快な仲間たち
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ゲートに近づくと、男の人に話しかけられた。
Rさんの手をギュッと握る。

「君は、フラベベというポケモンをご存知ですか?」

「えっ!?」

男の人は私が手に持っていたポケモン図鑑を見る。

「おおっ!ポケモン図鑑に見たことが登録されてますね!なるほど!さすが博士が選んだポケモントレーナーですね」

博士?選んだってことは、プラターヌ博士のことよね。
なんで、初めて会う人が知ってるんだろう?
パンジーさんも、私のこと知ってたし。
困惑していると、今度は女の人が話しだす。

「フラベベは、なんとフェアリータイプですのよ!」

「フェアリータイプというのは、最近分類されたばかりのポケモンの新しいタイプです」

「タイプの相性を見直すきっかけになりましたのよ!」

女の人が興奮したように、大声で言う。

「で、あたくしたち、プラターヌ博士に頼まれてフェアリータイプを他のタイプのポケモンと戦わせていましたの」

戦わせてって、言葉に嫌な気分になる。
バトルって言い方してほしい。
でも、私もやってることは同じだし・・・。

「あなた方は何者だ?」

Rさんも『戦わせて』の言葉に不機嫌になり、冷たい雰囲気で尋ねる。

「麗しい、あたくしの麗しい名前はジーナ!」

「ぼくは、デクシオ。2年前、プラターヌ博士からポケモンと図鑑を託された・・・いうなれば、君たちの先輩です」

「よろしければ、あたくしがポケモン研究所に案内いたしますわ!」

ジーナさんがそう言ってくれるけど、どうしよう・・・。
先輩トレーナーだし、聞いた方が良いのかな・・・?

「遠慮する」

Rさんが冷たく答える。

「あなた方は?」

デクシオさんがRさんたちを見て、尋ねてくる。

「あの、私の旅の仲間の人たちです」

そう簡単に説明する。

「そう?研究所に行く時は遠慮なく声をかけなさいな」

と、ジーナさんは言ったがゲートの入り口から離れない。

「あの・・・」

「研究所に案内しましょうか?」

同じことを言われる。
私たちはゲートから少し離れた場所に移動する。

「どうやら、あの人たちと一緒じゃないと通れないようですね」

リジュンさんがこめかみを押さえて言う。

「メンドクセー!!」

ダイちゃんも不満気な声をあげた。

「ごめん・・・私がいるからだ。あっ!私だけ案内してもらうから、Rさんたちは後から・・・」

「気にしなくて良いよ、ユウリン。一緒に行こう?ボクたち仲間でしょ?」

「あの方たちは気に入りませんが、ユウリンちゃんのためです。一緒に行きましょう」

「そだね。仕方ない。あ、ユウリンちゃんは気にしなくて良いからね!」

「みんな・・・」

「ほら、行こう!ユウリン!」

みんなに言われて、またゲートへ足を運ぶ。

「研究所に行きますの?」

「はい」

そう返事をする。

「レッツゴーですわ!」

そう言ってジーナさんはゲートに入り、デクシオさんも続いて入る。
私たちもゲートの中に入った。
ゲートの中の出口の所に、2人は立っていた。
近づくと、

「ケロマツは懐いた?」

とデクシオさんに聞かれる。

「あ、はい!まりんって名前をつけてます」

「ポケモンは一緒に過ごすほどに、トレーナーになついてくれるからね」

そうかなぁ?
悪い人たちとも、そうなの?
それは嫌かも。

「大丈夫だよ、ユウリン。トモダチ、ポケモンたちにだって良い事と悪い事の区別はある。悪い人には、命令は聞くかもしれないけど、なついたりはしてないと思うよ」

Rさんがコソッと耳うちしてくる。

「本当?」

「うん!」

ポケモンの言葉が分かるRさんに言われると安心する。
ダイちゃんやリジュンさんもポケモンの言葉が分かる。
ちなみに初めて聞いた時に感動して、すごいと言ったら、

「気味悪くないの?」

と、Rさんに聞かれたので、

「素敵な力ですね!」

と言ったら3人から喜ばれた。
その力のせいで嫌なことがあったのかもしれない。
詳しくは聞かないけど、人間って自分と違う人間を嫌ったりするもの。

「ゲートを抜ければ、ミアレシティ!さぁさ、お進みなさい!」

ジーナさんにそう言われる。
私は、Rさんたちとゲートから出た。
ゲートの案内のお姉さんによると、ミアレシティは光の都と呼ばれているらしい。
ゲートにいた他の人にミアレシティのことを尋ねると、カロス地方の最大の都市だと教えてくれた。
確かに、大きな街!!
遠くには大きなタワーが見える。

「では、あたくしが研究所の前で待っててあげますわ!」

「彼女が歩いていった先に、研究所がありますよ!」

ジーナさんが歩き去るのを見ていたら、デクシオさんに言われる。

「研究所の前で待ってるなら、早く行かないと・・・Rさんたちはどうする?」

「私たちは、ミアレシティを見て回ろうと思いますが・・・ユウリンちゃんは1人で大丈夫ですか?」

リジュンさんが心配そうに聞く。

「ユウリン、ボクは一緒に行こうか?」

「うん。街はオレとリジュンで探索するから、Rと一緒に行きなよ!」

Rさんとダイちゃんが、そう提案してくれる。

「ううん、大丈夫。1人で行く」

「ユウリン!」

「Rさん、リジュンさん、ダイちゃん、本当に心配しなくて大丈夫です。呼ばれてるのは、私だけじゃなくて、一緒に旅立った子たちもいるから・・・だから、その子たちも研究所にいると思うんです。私より先を行ってる子もいたし、1人じゃないから大丈夫ですよ!」

そう説明すると、Rさんたちは心配そうな顔をしながらも納得してくれた。

「じゃあ、ポケモンセンターで待ち合わせしよう?用事が済んだら、すぐに帰ってきて」

「うん!」

Rさんとそう約束してから別れる。
モンスターボールの門が見えると、そこにジーナさんがいた。
大きな建物・・・。

「この建物がプラターヌ、ポケモン研究所。さぁ、入りましょ!」

研究所に入ると、受け付けみたいな所があった。
オーキド博士の研究所とは、やっぱり違うんだなぁ。
それとも、私がいない間に変わってるのかな・・・。

「アサメタウンからここまで、遠い道のりだったわね!」

後から入ってきたジーナさんが言う。

「博士は3階でお待ちかねよ。さぁ、エレベーターに乗りなさいな」

ジーナさんに言われた通り、エレベーターに乗り3階のボタンを押した。
プラターヌ博士・・・どんな博士なんだろう。
上がっていくエレベーターの表示を見ながら、不安と戦っていたら、めいりん(デデンネ)に頬ずりされた。

「うん、めいりんがいるんだもの。大丈夫だよね!」

《ね〜!》

私が笑顔で言うと、めいりんは嬉しそうに相槌をうった。



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