うさぎトレーナーシリーズ

□うさぎトレーナーとたくさんの出来事1
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1・レストランでバトル!?

ポケモンセンターに戻ると、ダイちゃんがお腹が空いたと言ってきた。
ポケモンセンターでも、もちろん食事はできるけどジョーイさんから面白いレストランがあると聞いて、行ってみた。
レストランの名前は、レストラン・ド・フツー。

フツーって、もっと他に良い名前はなかったのかしら?
名前は確かに面白いかも、しれない。
入って受付の人に声をかける。

「安心の味、雰囲気、値段。ようこそ、レストラン・ド・フツーへ」

「あの、私たち初めてここで食べるんですけど・・・」

「そうですか。こちらのレストラン、おススメはダブルバトルの3連戦コースでございます」

「ダブルバトル!?」

「もちろん、すべての料理には食べ頃がございますので、それまでポケモンバトルをして下さいませ。で、こちらがお願いする時間にて勝利してくださると驚きのおいしさとなるのです!」

「あの、私たち4人の場合、やっぱり2組でダブルバトルをするんですか?」

「いいえ。お1人様バトルしていただければ結構です。お連れ様には待っていただくことになりますが」

説明を聞き終え、私はみんなに相談する。

「どうしますか?別のとこに行きます?」

「うーん、どうすっかなぁ」

「ユウリンちゃん、料金は1人いくらですか?」

「3000円です」

「高いですね・・・」

「ユウリン。君はどうしたい?」

Rさんに聞かれ、少し考える。
でも、1人3000円でしょう?
4人だから、12000円。
旅立ったばかりで、1食にこんなに使っていいのかしら?

「お金なら気にしないでいいよ。ボクが出すから!」

「Rさん。ポケモンだけじゃなくて、人の心の声も聞こえるんですか!?」

「いやいや、さすがに聞こえないよ。ただ、ユウリン分かりやすいから!」

ゔっ!!
そんなに、分かりやすいの?
バトルの時にそれは不利な要素なんじゃ・・・。

「まぁ、たまには良いでしょう」

「オレらは見てるだけだから、応援は任せてよ!」

リジュンさん、ダイちゃんもこのレストランで食べることに賛成する。

「ユウリン、頑張ってね!」

ダブルバトル・・・いっぺんに2体の指示を出すバトル。
初めてやるからこそ、やってみたい!

「はい!ダブルバトル、頑張ります!」

受付を済ませ、席に案内される。

「かしこまりました。こちらへどうぞ」

Rさんたちは席につき、私はバトルフィールドに立つ。
そこへ給仕の人がやってきて、テーブルにフタのような物をのせたお皿を持ってくる。
そして、私の向かい側にはバトルの相手。

「こちら、アントレ・・・いわゆる前菜の、たった今採れたてサラダでございます」

料理の説明が終わり、勝負が始まる。
って、料理人さんが相手!?
ロジェさんとバトルが始まり、タイマーがセットされた。
ロジェさんはヤナップとバオップ。
私はしょうれん(リザード)と、めいりん(デデンネ)を出した。
早すぎても、遅すぎてもダメ。
かといって、みんなに無理もかけたくない。
私、選択間違ったかしら?
な、なんとか時間通りに勝利する。

「あなたはおいしいサラダを、さらにおいしく食べる人」

そう、ロジェさんに褒められた。

「お疲れ!ユウリンちゃん!」

「む、難しい・・・!」

ダイちゃんが声をかけてくるけど、頭がいっぱいいっぱい。

「まぁまぁ、サラダおいしいよ?はい、あーん」

「うきゅ!?」

開いていた口の中へ、Rさんに適量のサラダを入れられる。

「あはは。ユウリン、うきゅって!」

「もきゅもきゅ・・・」

とりあえず、サラダを食べないことには喋れない。

「なんだか、小さなポケモンに食べさせてる気分だな」

ええっ!?
なんでここで雰囲気変わるの!?
Rさん、私はなんだか狙われたポケモンの気分が分かった気がします。
目でダイちゃんに助けを求めるけど、苦笑される。
結局、反論しようと口を開けるたびにサラダを食べさせられるから、それで完食。
確かにおいしかったけど、今度はなんだろ?

「次は、スープでございます。素材の良さを活かすため、ほとんど味つけはしておりません」

あ、またロジェさん。
次のポケモンは、バオップとヒヤップ。
あの、バオップ・・・あ、違う子だ。
確か、3連戦のダブルバトルだから計6体。
同じポケモンでも能力は違うし、さっきとは違うメンバーにバトルしてもらいたい。
そう思って、えるしょう(モンメン)と、まりん(ケロマツ)を出した。
えるしょうの苦手なバオップを先に倒す。
今度もなんとか、時間通りに勝利できた。

「味を見極めるために、自分の舌を鍛えて下さい」

舌を鍛えるって、どうやるんだろう?
バトルフィールドから、席に戻るまで舌を鍛えようと口の中で舌を動かす。

「ユウリンちゃん?口の中がどうかしたんですか?」

「あ、リジュンさん。ロジェさんに舌を鍛えろって言われたので、舌を口の中で動かしてたんです」

「ユウリン!舌を鍛えたいならボクが鍛え・・・っ!!」

「R、教育的指導な?」

「ダイちゃん、そのハリセンどうしたの?Rさん大丈夫!?」

Rさんの言葉を遮ってハリセンで彼の後ろ頭を叩いたダイちゃん。

「ユウリンちゃん、気にしないでいいですよ。それから、舌を鍛えるというのは、おいしいものを食べて味覚を養うということです。おそらく、食材本来の味を楽しんでほしいという意味でしょう。このスープ、飲んでみて下さい」

スプーンですくい、一口飲む。

「おいしい!なんだか、優しい甘みがします!」

「野菜本来の甘みですよ。なるほど、良い仕事をしています」

うん。おいしい!
それに、料理担当のリジュンさんも褒めてるし、来て良かったかも!
なんだか、時間制限も慣れちゃったし。
でも、Rさん舌を鍛えてくれるって言ってたけど料理の味を確かめるために鍛えるんなら、料理しないRさんには無理なんじゃ?
それとも、しないだけで実はすっごく料理上手とか?
スープを味わいながら、なぜか睨み合ってるRさんたちを見ていた。
さぁ!とうとう3戦目。

「いよいよ、メインとなるポワソン・・・つまり、魚料理でございます。たった今釣り上げて、ささっとムニエルにしあげました」

味がなじむまでの時間にバトルっと!
相手はまたロジェさん。
ポケモンはヒヤップとヤナップ。
こっちは、れいしょう(ルカリオ)と、ゆーりん(ニンフィア)。
今回は時間に慣れたせいもあって、完璧!!に勝利。

「あなた・・・、四天王ズミ様にどこかしら似ておられますね」

えっ!?

「どーした?ユウリンちゃん」

「あの、ね、さっきロジェさんが私が四天王のズミ様にどこかしら似てるって言ったから、ズミ様って、どんな人なんだろう?って思ったの」

「ユウリン・・・。コウダイ、調べられるか?」

「四天王なら、有名だと思うから、できるよん☆ポケセンに戻ったら、すぐに情報をあげるからね!」

「ありがとう!!」

魚料理も食べ終わり、受付の人が来る。

「いかがでしたでしょうか?」

「とっても、おいしかったです!」

私の感想に、受付の人は満足そうに微笑む。

「こちら、デザートとさりげない伝票になります」

「前払いしたはずですが?」

確かに、前払いしてあるのに伝票はおかしい。

「こちらの伝票とは、お客様の戦歴になります。そして、その戦歴によってお土産がございます」

なるほど。
お土産ってなんだろう?
受付の人が伝票をチェックしている間に、デザートを食べる。

「こちら、ちいさなキノコ15コでございます」

箱が渡され、中に小さなキノコが入ってるけど・・・これって、何の役に立つんだろう?
帰りにリジュンさんに聞いてみよう。

「なんとなんと!」

え!?何?

「なんとなんとなんと!」

受付の人が驚いている。

「なんということでしょう!」

「あ、あの!何か問題でも?」

慌てて立ち上がり、受付の人に聞く。

「ユウリン様は、わたしどものお店にはもったいない・・・最高のお客様です!」

はい?

「つまり、すべての料理を最適な時間で召し上がられたということです」

えーっと、時間通りにバトルできたってことよね。

「やったー!!」

「すごいよ、ユウリン!あ、これはチップだ」

私の両手を片手で握りながら、Rさんはお店の人にもう一方の手でお金を渡す。
不思議そうに見ていると、チップっていうのは満足した時に払う、お店へのサービス料だと教えてくれた。

「それでは、またのお越しを・・・」

そう言って、レストランの入り口に戻っていった受付の人。
帰る時に、

「ンッフゥ!わたしどもは、いつでもユウリン様たちをお待ちしております」

と言われた。




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