うさぎトレーナーシリーズ

□番外編『Rたちの旅3』
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3・みんなで

ヒヨクジムに入ると、アスレチックがまず目に入った。
思い出すのは、ショウヨウジム戦の時に崖をボルタリングで登っていったユウリンちゃん。
今回は、オレらも一緒だよ。
と、ユウリンちゃんに言うとジム戦をするの?と聞かれた。
Rが否定し、

「ボクがユウリンと登りたいだけだよ。楽しそうだしね」

と言ってユウリンちゃんは納得する。
だけど、R。
お前の思い通りにはいかないからな。
順番は、オレ、リジュン、R、ユウリンちゃんの順。
ユウリンちゃんは、自分のジム戦だから最初に登りたそうだったが、リジュンにスカートですから、やめて下さいと言われ、不思議そうな顔をしながらも最後に登ることになった。
ユウリンちゃん、一応スパッツ履いてるけどミニスカートだもんな。
ロープを登ったり、降りたり、フェイクがあったり、なかなか楽しい。
が、疲れる。
ラップ(ペラップ)は良いよなぁ。
飛んでんだから。
まぁ、めいりん(デデンネ)肩に乗せてるユウリンちゃんよりマシか。
それにしても、ユウリンちゃん体力あるなぁ。
野生のポケモンとの争いにも、「ケンカはダメだよ!」と言って、俺らが行く前に会話のできる、れいしょう(ルカリオ)を連れて場に入っていって、何回解決したっけ。
多すぎて、数え切れない。
ポケモン同士の特訓も、たまに自分を的にしてやってることもあるし・・・。
そんなことしてたら、体力もつくか。
オレも鍛えないとな!
最上階に着くと、じいさんがいた。
このじいさんが、ヒヨクジムのジムリーダーか。
早速、ジム戦が始まる。
ヒヨクジムのジムリーダー、フクジのじっちゃんがまず出したのはワタッコ。
ユウリンちゃんは、初めてジム戦を体験する、るるりん(アマルス)を出した。
草タイプは氷タイプに弱いからな。
るるりんは、デビュー戦で張り切っていたのか、オーロラビームの一撃を急所に当てワタッコを倒す。
ああ、そういや、ワタッコって草・飛行タイプだから、氷タイプの技だと効果は抜群なんだよな。
次に出されたのは、ゴーゴート。
ユウリンちゃんは、またもジム戦デビューのごんしょう(カビゴン)。
確か、ユウリンちゃんのごんしょうの特性は免疫。
毒状態にならない。
つまり、気をつけなきゃならないのは、マヒや眠り状態だけってことか。
ユウリンちゃんはド忘れで、ごんしょうの特防を上げる。
これは、もともと防御力の高いごんしょうをさらに特防を上げて、チャンスを狙う作戦かな?
ゴーゴートが変化技を使ってこないのを、見計らって、ごんしょうに草タイプには効果抜群の火炎放射、ふらついたところで、一気にのしかかりを決める。
うわぁ、オレ、ゴーゴートに同情しちまう。
400キロのごんしょうの、のしかかりって・・・。
ゴーゴートは、戦闘不能。
まぁ、そうなるわな。
最後は、ウツドン。
ユウリンちゃんは、しょうれん(リザードン)。
これは、もう決まったな。
初期メンバーのしょうれんの強さは、他の比じゃない。
火炎放射の一撃でウツドンは戦闘不能になった。
ジム戦に勝利したユウリンちゃんは、いつものようにバッジを両手に持ちポーズをとる。
そういや、メガシンカする時もそうだったし、新しい仲間ができた時もそうだ。
ユウリンちゃんは両手で包み込むようなポーズをとる。
可愛いし、あったかい感じがするんだよな。
帰りは、滑り台で一気に下に下る。
ユウリンちゃんは、めいりんが落ちないよう片手で胸に抱き、もう片手で帽子を押さえて下りた。
ちなみに、下りた順番はユウリンちゃん、R、リジュン、オレ。
下に下りてから、Rがバッジゲットにおめでとうと言い、オレは正直に、ゴーゴートに同情したことを言う。
ユウリンちゃんも、苦笑してたから、実は同じように思ってたのが分かった。
だけど、ジム戦だから最高のバトルを、ポケモンの力を最大限に引き出すためにしたんだな。
さて、次は停電騒ぎだったミアレシティ。
停電が直ってっと良いんだけどな!
ユウリンちゃんのポケモンの回復をすませ、メンバーも交代してから旅の準備をすませてから、ミアレシティへ向かうゲートへ進んでいたら、ユウリンちゃんのホロキャスターが鳴った。
Rが『ヨーテリーモード』の口調のくせにライバル心からか『ヘルガーモード』の雰囲気をかもしだしながら、またキガク?と尋ねる。
それに、リジュンと苦笑するがメールの相手はホロキャスターを作ったフラダリラボのフラダリという人だった。
なんか、カエンジシの♂に似てんな。
えらく『美しい世界』を強調している気がしてそれを言うと、ユウリンちゃんは、

「でも、共感はできるんだよね」

と言った。

「と、いうと?」

「研究所を出た後に、キガクにライバル宣言をされる時に行ったカフェ・ソレイユでまた会ったんですけど、みんながみんな誰かを幸せにするために生きれば良いのにって言ってて・・・まぁ、最初に会った時には疑問もあったんですけどね」

リジュンにそう答えるユウリンちゃん。
だけど、最初に会った時の疑問が気になる、と思っていたらRが聞いた。

「うん。選ばれた存在は努力しなきゃいけないって、言ってたから。じゃあ、選ばれなかった存在はどうなるの?って思ったの」

その言葉に、思わず本音がもれた。

「確かに、選ばれたりした人間は辛い目にあったりするよな・・・」

Rや、リジュン、それにオレや、今は別行動のアイツら・・・。
ポケモンの話が分かるという能力のせいで、集められたオレたち。

「ダイちゃん・・・?」

いけねっ!ユウリンちゃんに、心配かけちまう。
なのに、言葉が出てこない。

「さぁ、行こう!ユウリン!」

Rが明るく言って、ユウリンちゃんを促す。
ゴメンな、R。
一番辛かったのは、お前なのに・・・。

「コウダイ・・・」

「悪い・・・」

「いえ、これからは気をつけて下さい」

「分かってる・・・」

ユウリンちゃんの方を見ると、こちらを心配そうに見ているが、オレの視線に気づくとRと笑顔で話し始める。

「このままで、本当に良いのか?」

「コウダイ?」

「ユウリンちゃんは、自分の生い立ちを話してくれた。なのに、オレらはずっと黙ったままだ・・・」

「今は、ユウリンちゃんの優しさに甘えておきましょう」

「甘えてるだけで、良いのか?それで、本当にユウリンちゃんの『仲間』だって、言えんのか!?」

「コウダイ・・・いつかは、ぶつかる壁です。それでも、今の時間を壊したくない・・・ただのワガママです。私とRの」

「そう、だよな。でも、嫌な予感がするんだ。あの、フラダリって奴に」

「コウダイの予感は当たりますからね。気を引き締めて行きましょう。私たちは、ユウリンちゃんの『仲間』だと胸をはれるように」

「ああ・・・!」

ゴメンな、ユウリンちゃん。
オレたちが話すのを、信じて待ってくれてるんだよな。
だけど、まだ、『みんなで』いたいんだ。
まだ、この優しい時間を失いたくないんだ。
いつかは、ぶつかる壁。
それが、いつかはオレたちには分からない。


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