捧げ話

□ドラマ撮影でドッキドキ!番外編again
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シゲルの反応


「シゲル君、休憩にしないか?」

研究員の一人に声をかけられ、シゲルは頷き席を立つ。

フィールドワークの結果をまとめるため、研究所にいたシゲルは休憩室へと向かった。

休憩室には、けっこうな人数がおりシゲルは驚き、近くにいた研究員に話しかける。

「あの、何かあるんですか?」

聞かれた研究員は、シゲルを空いている席に勧めながら質問に答える。

「今年はアメストリス地方とシンオウ地方が国交を結んで20年でね、特別ドラマがあるんだよ。それを見るために、みんな集まってるんだ」

研究員の答えに納得しつつ、シゲルの脳裏には一人の女の子が思い浮かんだ。

サトシと旅をしている彼女は、アメストリス地方出身だ。

(話題作りに見ておくか・・・)

既存のポケモンしかいないアメストリス地方には、研究者として興味はそそられないが、今度サトシ達に会った時に感想を話すのも面白そうだ・・・

そうシゲルは思い、他の研究員同様ドラマを見始めるのだった。

ドラマはとても面白かった。

アクションシーンは素晴らしかったし、人種を越えた愛には感動した。

(アメストリス地方にはこんな人間がいるのか。サトシに似てるな)

ポケモンがいないからこそ、自分達で戦うアメストリス地方の人間・・・それは、ポケモンがいる地方にもかかわらず、何かあると自分で立ち向かって行くサトシを思い出す。

(サトシには興味のありそうな地方だ)

強き者の多いアメストリス地方。
サトシはいずれ、旅するかもしれない。

(にしても、どこか見覚えがあるような・・・)

クライマックスの告白シーンが流れ、場が感動に包まれる中、シゲルの心には疑問が浮かんだ。

そして・・・

「はぁ?!」

いつもはそんな声を出さないシゲルが、エンディングを見て叫ぶ様に、研究員達は何事かとシゲルを見る。

だがシゲルはそんな研究員の視線にはかまってられなかった。

エンディングで流れる出演者の中に、自分の幼馴染みの彼の名を見て、そして先ほどの告白シーンを思い出し、シゲルは今まで知らなかったサトシに驚き、このことを教えてくれなかった彼にヤキモキするのだった。

(今度会ったら絶対からかってやる!)

密かなシゲルの決意は、誰も知らない。



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