捧げ話

□ドラマ撮影でドッキドキ!番外編again
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マサトの反応


「あら?マサト、ドラマ見るの?」

「うん!サトシが出るんだって!」

母親に聞かれ、マサトは元気よく答える。

「サトシ君が?じゃあ、ママも一緒に見ようかしら」

そう言ってマサトの隣に座る。

「サトシ君は何役なの?」

「さぁ〜?タケシに聞いても答えてくれなかったんだ」

でもきっとちょい役だよ!と付け足し、マサトはテレビを見る。
なんだかんだ言っても、マサトはサトシを尊敬している、目を輝かせてドラマが始まるのを待つ息子を、母親は微笑ましく見ていた。

ドラマが始まると、マサトはつまらなそうにする。

「マサト、どうしたの?」

尋ねる母親に、マサトは不満そうな顔を向け答える。

「だってこのドラマ、ポケモン出てこないんだもん・・・」

息子の答えに苦笑する母親。

「しょうがないわ。アメストリス地方にはこの当時、ポケモンはいなかったんだもの」

母親の言葉に、マサトは「そうだったね」と呟く。



「僕、ホウエン地方に生まれて良かった・・・」

激しいアクションシーンを見ながら、マサトが呟く。
大好きなポケモンがいないうえに、こんな戦いをしていたアメストリス地方・・・
マサトは自分が恵まれていると感じた。

「そうね。でもね、マサト…アメストリス地方の人達はこれが当たり前だったの。だから、アメストリス地方の人達は強い人が多いのかもしれないわ。こんな悲しい出来事を乗り越えてきたからなのね」

母親の言葉に、マサトは目を見開く。

「マサトも、こんな心の強い男の子になって欲しいわ」

言われマサトは画面を見る。

額の血を拭いながら、敵を見据えた鋼の錬金術師。その諦めない瞳・・・

「あ・・・」

「マサト?」

小さく声を上げた息子に、母親が問う。

「ママ、僕は強い男になれるよ。だってそんな強い男と一緒に旅してたんだから!」

宣言するマサト。
そしてナマケロ達の世話をしてくると、席を立った。

急に目を輝かせた息子に、母親は不思議に思ったがドラマのエンディングを見て、理解した。

出演者の名前に、子供達と共に旅をしていた少年の名を見つけ、母親は息子達は良い子と巡り会えたと微笑むのだった。

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