スザルル新婚さん小説
□ぷちバレンタインパニック三話
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まさかと思ってみると、イラストレーターの名前が「クロヴィー」とあった。
クロヴィスにクロヴィー。
あまりに似過ぎている。
世の中には、同じ顔をした人間が三人いるというが、絵のタッチも似ていて、しかも
名前が似ている人間もいるということだろうか。
世界は不思議に満ちている。
スザクはあらためて感心する。
「おい、枢木」
「は? 何ですか、ヴィレッタさん?」
とんとんと肩を叩かれ振り向くと、目の前にバン!と給料明細がつきつけられた。
そういえば、今日はバイト料が入る日だった。
スザクはそこに書かれている金額に、「こんなに?」と思わずにこにこ顔になる。
いつもよりかなり多かったのだ。
ヴィレッタが「お前も経験値が上がったからな」と口の端を軽くあげる。
つまりそれは…。
「知らなかった。時給があがってたんですね!」
「ああ、ジェレミア卿があげてやれ、とな…。あれはあれでいいところもあるのだか
ら、お前、後でフォローしておけよ。あの人が使い物にならなくなったら、私たちの
生活が困るからな」
それもそうだ。
ならば、ぜひともフォローしなくては!
***
「ルル、ただいま!」
「……」
リビングのドアをがちゃりと開けると、ルルーシュが座ってコーヒーを飲んでいた。
明るく入っていくが、ぷいとそっぽを向かれ、スザクは重大なことを思い出す。
(そ、そういえば…僕たちってもしかして…喧嘩を…??)
この冷ややかな対応。
ど、どうしよう? なんて謝れば…!
一瞬にして蒼白になったスザクを見て、それまでむっとした表情を浮かべていたルルー
シュがもう我慢できない、というように吹き出した。
「なんて顔してるんだよ、スザク?」