スザルル新婚さん小説

□ソフトクリーム症候群
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スザクのバイト先は、新進パティシエ・ジェレミアの経営するスイーツショップだ。
時給はそれなりだが、時間がきっちりしていることと、時々、ケーキをお土産に貰えるので気に入っている。
はっきりとは言わないが、彼の恋人がここのケーキのファンなので、そのこともバイトをこの店に決めた理由の一つだった。

「今日は一段と売れ行きがいいですね、ヴィレッタさん」

ようやく客がひけて、スザクは深呼吸しながら、伸びをする。
売れ行きがいいのは嬉しいが、連続だとかなり疲れるのだ。
普段鍛えているだけに、立ち仕事はどうってことないのだが、ずっと作り笑いしているから顔がつりそうになる。
スザクの問いに、販売チーフのヴィレッタが鋭角的な面に驚きの表情を浮かべた。

「なんだ、お前知らなかったのか? この間、ジェレミア卿がテレビに出演したからじゃないか」
「え? テレビ? それは知りませんでした」
「世情に疎いやつだな」
「はは…すみません」

部屋にテレビはあるのだが、スザクもルルーシュも、ニュース以外ほとんどテレビをつけることがない。
世情に疎い、というよりは、流行に疎いという方が正しい。
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