スザルル新婚さん小説

□幸せの定義
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ルルーシュの妹、ナナリーは、お嬢様ばかりが集うとある寄宿制の女子校に在籍して
いる。
寄宿制なのでもちろん寮生活である。
母、マリアンヌの母校に通うことが大好きな兄の望みだから仕方なく了承したものの
…。
(やっぱり…寄宿制なんてやめておけばよかったかもしれませんわ)
目の前の光景を目の当たりにして、少し…いやかなり後悔していた。
ちなみに、今日は一月に一度の食事会の日である。
離れて暮らす兄妹は、月に一度は、お気に入りのホテルのレストランで食事を共にす
ることにしているのだ。このレストランのランチビュッフェは量的にも質的にもなか
なか評判がいい。

「お兄様。カニはいかが? 私、頂きましたけど、とてもおいしかったですわ」
「ああ、ナナリー。ありがとう」

ナナリーの言葉に、ルルーシュは蕩けそうな笑みを浮かべつつ、答える。
変わらぬ兄の美しさに、ナナリーは思わず頬を染めながら、あまり器用でない兄のた
めに「私が…」ともじもじと言った。
後に続く言葉は、もちろん「カニの身をとってあげますわ」だったのだが。

「ルル、カニが食べたいのかい? 僕がとってあげるよ」
「ス、スザク! そのくらい自分で…」
「駄目だよ、ルルは見た目と違って不器用なんだから。手を怪我したら大変だろう?」

また、先を越された…。
ナナリーはあまりの悔しさに微笑をひくつかせた。
なんてこと! 
久々のお兄様との食事会だというのに、スザクさんてば、私の邪魔ばかりじゃないで
すの!?

「あ、あら…スザクさん。お兄様を甘やかしっぱなしですのね」
「ん? そうかな? こんな当然だよ。だって、ルルの綺麗な指に傷でもついたら大
変だろう?」

ナナリーもそう思うだろう? と邪気のない笑みを向けられ、ナナリーは「ええ、ま
あ…」と曖昧に頷く。
その意見には賛成…といえば、賛成である。
二人で暮らしていた時も、料理はナナリーの担当だったし、兄は顔と頭のよさのわり
には、手先はそう器用ではない。
どこからどこまでも綺麗な兄の、特に長くて優雅な指がナナリーはお気に入りだ。
爪なんて、桜貝のようにピンク色だし、肌も雪のように白い。
ナナリーの目が不自由だった頃は、ナナリーの髪の手入れは兄がしてくれていた。
優しくブラッシングした後に、いつも頭を撫でてくれた。
大好きな兄の手。
確かに、カニごときに傷つけさせるなんて言語道断…とは思う。
だが。
何もその役目はスザクでなくてもいいのでは??
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