スザルル新婚さん小説

□ざ・ちぇんじ!
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女は男で変わる。
男も女で変わる。

じゃあ…男は男で…変わる?

*********

「…ルルって変わったわよね〜」
「へ? そう?」

腹ぺこ学生で激混みのカフェテリア。
一日30食限定の子羊のカツレツに舌鼓をうちながら、シャーリーは呟く。
横でカツ丼をがつがつとかきこんでいたリヴァルは「そうかあ?」とさらに首を傾げ る。

「変わったわよ! 明らかに! 男ってホント鈍感ね」

シャーリーはどんぶりからトンカツ一切れを奪取した。「ああ〜!」とリヴァルが大 声をあげる。
全く、トンカツ一切れくらいで大げさな男だ。
といっても、自分のカツレツは一切れどころか、肉のはしっこすら譲る気はないシャー リーである。

「…君、太るよ」
「おあいにくさま。身体をたっぷり動かしてるから、このくらいは軽く消費しちゃい ます!」

高校の時と同じく、放課後は水泳三昧だ。
カロリー消費にだけは自信がある。
そんなことより…とシャーリーは話を元に戻す。

「リヴァル、あんた本当に分かんないの? ルルのあの変わりよう…」
「…太っても痩せてもいないし…。服の趣味も…」
「そーゆー外見のことじゃないの!」

どこをどう見たら、そういう答えが帰ってくるのか。本当に不思議で仕方ない。
シャーリーははあっとため息をつく。

「いい? 例えばさ…」
「あれ? シャーリーにリヴァルじゃないか。何を楽しそうに話しているんだい?」

人が来ると思っていなかった背後から、いきなり割り込まれて、シャーリーは「ひゃっ 」と素っ頓狂な声をあげた。
リヴァルが「やあ、スザク」と軽快に答える。
振り向けば、そこには、ビタミンCドリンクのペットボトルとカフェテリア自家製特 大プリンを手にしたスザクが立っていた。

少々くせ毛気味の栗色の髪。深いオリーブグリーンの双眸。
笑うと白い歯がきらりと隙間から覗く。
ふわりとした雰囲気が魅力と一部では人気があるが、意外に腕っぷしは強いらしい。
誰にも親切で、頭もよくて、運動神経もいい。そのうえ、ハンサムで身長も高い。
まさしく、理想の彼氏だとうっとりとしている女子もいるが、相当の天然ぶりとルルー シュ至上主義を知っているだけに、シャーリーは頷いてあげられなかった。
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