スザルル新婚さん小説

□恋は難解な方程式
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ああ、神様。
私、今まで間違っていました。
本当の「うざい」って言葉は、ああいうものに使うんですね…。

***

「…うん、うん…。そうそう。冷凍庫に一食分ずつパックしてあるだろう? それを レンジでチンして…。あ、ごはんの上にかける時、手にかからないように気をつける んだよ? やけどしたら大変だからね。それから…」

うええ、勘弁してよ、ホントに…。
赤ん坊じゃあるまいし、あいつだってその位分かるんじゃないの??
カレン・シュタットフェルトは、このゼミをとったことを今ほど後悔したことはなかっ た。
肩にようやくつく程度の見事な赤毛をくるくると指に巻き付けながら、今日何度目か のため息をつく。

本日、ゼミの小旅行。
教授の親族が経営しているというペンションを借り切っての、一泊旅行だ。
親睦を深める意味はもちろん、今後のゼミのあり方について語り合おうというとても真面目な企画だ。
たかだか一泊だし、企画はもちろん全員参加である。
語り合うのはちょっと面倒かなと正直思ったが、ペンションの近くには立派な温泉も あるということだったので、カレンは結構楽しみにしていた。
していた、のだが。
それは昨日までの話。
今は…申し訳ないが、心底帰りたくて仕方ない。

「え? カレーだけじゃ足りないからサラダを作る? 作っておいたツナサラダじゃ 駄目なのかい? ええ? 卵サラダがいい? そんなの、明日作ってあげるよ。ガス なんて使ったら危ないだろう? うん、うん…」

ガスが危ない、ねえ…。
ゆで卵を作るくらいどうってことないんじゃない?
大体、イマドキゆで卵を作れる機械だってあるし…。ああ、でもきっとそういうの持っ てても、こいつは危ないって言うんだろうなあ。

こいつー枢木スザク。

全ての不幸は、彼がカレンと同じゼミをとったことから始まったのだ。
失敗した。
スザクのルルーシュ溺愛は高校の頃から知っていたはずなのに…。

(きっと、こういうのを魔が差したっていうのよ…)

そう、じゃなかったら、スザクと同じゼミなんて…。
いや、もとはといえば、ゼミで一泊旅行なんて企画するからいけないのだ。
普通に大学で授業している分には、さすがにスザクだって普通だ。

(そうよね、ルルーシュと離れているのがいけないわけよね…。っていっても、一泊。 しかもさ、…電車でたかだか二時間しかかかんないってのに…)
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