スザルル新婚さん小説

□ぷちバレンタインパニックニ話
1ページ/5ページ

結局、扇という男との関係を訊くことは出来なかった。
いや、正確に言えば、訊けなかったのではなく、かわされたという方が正しい。
あの扇という人物が帰った後、さりげなく「どういう知り合いなの?」と訊いてみた
のだ。
だが、ルルーシュは表情もかえず、初めて会ったのだと言う。
初めて会った人物をいきなり呼び捨てに?
それはありえないだろう。
大体、ケーキショップでたまたま会った人間といちいち自己紹介なんてするものだろ
うか?
いや、普通しないだろう…。
自分ではかなりさりげなくー端から見れば少しもさりげなくないのだがーさらに問い
つめようとした。
だが。

(二人きりなのに話だけじゃつまんない、なんて言っちゃって…)

スザクはさっきまでの甘い時間を思い出し、身体を熱くする。
そう、ここはベッドの上。
隣では、ルルーシュが安らかな寝息をたてて眠っていた。
さっきまではあんなに激しく…。

(…でもさ…これって、つまりは誤魔化されたってことだよね?)

めくるめく甘い時。
優しいキスと甘い愛の言葉。蕩けそうな愛撫。
わざわざ「話なんてつまらない」とか言って、ルルーシュの方から誘ってくるなんて
…。
これって、都合の悪いことを隠そうとしていたからじゃ??

(そりゃ…普段だって、ルルーシュから誘ってくれることもあるけどさ…)

タイミングがあまりに絶妙すぎる。
こちらの質問には答えてくれなくて、それで…だから。

(誰なんだろう…?)

ヴィレッタの想い人だという扇。
出会いはなかなかにロマンティックだったらしい。
ヴィレッタが夜道で酔っ払いに絡まれたところを助けてもらったのだという。
まあ、「私は色々とスゴイ」と公言するヴィレッタだから、酔っ払いの一人や二人
どうってことはなかっただろうとは思う。
だが、ヴィレッタは、見た目だけは楚々とした女性に見えるから、扇としても保護欲を
そそられたのだろう。
彼は酔っ払いとヴィレッタとの間に入り、守ってくれたのだという。
しかも、自分は真逆の方向だというのに、わざわざヴィレッタを彼女の地元駅まで送っ
てくれた上に、タクシーまで拾ってくれたそうだ。
これは運命、すぐさま胸キュンになったヴィレッタは、別れ際に速攻で携帯電話のナ
ンバーとメールアドレスはゲットしたらしい。
だが。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ