スザルル新婚さん小説

□ぷちバレンタインパニック三話
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「それにしても、ゼロなんて随分変わった名前ですよね。パソコンのウィルス対策ソ
フトから、セキュリティガードまでやってるなんて…商売上手だなあ」

世の中にはすごい人もいるものだ、と感心しながら、スザクはパソコンの横に置いて
あったウィルス対策ソフトの箱を手に取った。
スーパーメールブロック。
そういえば、こういうことは全部ルルーシュに任せきりだった。
スザクは機械に弱いわけではないのだが、どのウィルス対策ソフトがいいとか、そう
いうことはよく分からないので、ルルーシュのアドバイスに従うことにしている。

(うちもここの使ってるのかなあ…)

そういえば、スザクのパソコンにもおかしなメールは一切入ってこない。
まあ、メールアドレスを知っているのは限られた人間だけ、ということもあるのだろ
うが、以前、リヴァルがチェーンメールを開いてしまったからそっちにも届くかもし
れない、と申し訳なさそうに報告してきたことがあったが、結局は届かなかった。
ルルーシュが「ちゃんと対策してるから」と言っていたけれど、もしかしたらここの
製品を使っていたのかもしれない。

「…ゼロ、かあ」
「なんだ? 枢木。就職でも狙っているのか? お前のような頭まで筋肉のヤツは難
しいぞ。まあ、セキュリティガードなら、下っ端にでも入れてもらえるかもしれない
が」

ふふん、とジェレミアが笑う。
その手にはのるものか、とスザクは「下っ端でもここより時給がよければ考えますよ」
と言い返してやった。
ジェレミアは、口では自分の方が上、と思っているようだが、たまにはスザクだって
反撃したくもなる。
そう、普段は、年長者ということもあって、遠慮して言い返さないだけなのだ。
スザクの言葉に、ジェレミアはぐうと息をのみ、黙り込む。
ちょっと可哀想かなとも思うが、静かでいい。

(…なんか、このイラスト、見たことあるなあ…)

ふと、スザクは箱の隅に描かれているイラストに目をやった。
チューリップのような形の…仮面のような、よく分からないイラスト。
正確に言えば、イラストを見たことがあるのではなく、絵のタッチに見覚えがあった。
天然野生児だとよく言われるが、スザクは目と耳がとてもよい。
視力という意味でもそうだが、実は物の形を見分ける力が鋭かった。

このタッチ…。
これは…ルルーシュの兄、クロヴィスの絵のタッチによく似ている。
クロヴィスとは数えるほどしか会ったことはないが、彼の趣味だという絵の数々を見
せてもらったことがある。
想像で描いたという、幼き日のルルーシュとナナリーの絵や、現在のルルーシュの肖
像画。
実は美術の道に進みたかったという彼の絵の腕前はなかなかのもので、写実的なもの
からデフォルメした漫画的なものまで、ありとあらゆるものがあった。

(…クロヴィー??)
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