両手いっぱいの花束を君に(1話〜30話)

□両手いっぱいの花束を君にニ話
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青天の霹靂。
スザクは想像もしていなかった出来事にめまいを起こしそうになった。

(ルルーシュが…女の子、だって?)

そんな馬鹿な。
深く深呼吸して、気持ちを落ち着ける。
けれど、あらためて見てみても、ルルーシュの身体は…。その…やはり男にあるまじ
き膨らみが…。

「…スザク?」

心配そうな表情で、ルルーシュが顔を覗き込んでくる。
スザクはとりあえず「大丈夫」と答えた。
落ち着け。落ち着くんだ。とにかく頭の中を整理しなければ。
訊きたいことはたくさんある。

「…あの、…ルルーシュ、その…君はいつから女の子だった…」
「う、生まれた時からだよ! スザク、俺の言うこと信じてないのか?」

スザクの問いに間髪入れずルルーシュは顔を真っ赤にして怒り出す。
最初、何を怒っているのか一瞬分からなくて、少し考えてようやく自分がおかしなこ
とを訊いたのだと分かる。
やっぱり混乱している。自分でもどう訊いていいのか分からなくなっているのだ。

「ち、違うよ、君の言うことを信じてないわけじゃなくて…、って…ちょっと待って
くれよ、ルルーシュ。昔、僕たち一緒にお風呂に…!」
「あ、あの時は…俺、自分のこと男だと思ってたし…。下、隠してたし。それに、ま
だ子供だったし」
「そ、そういう問題…?」

確かに子供だった。
男女の違いは…少なくとも上半身ではつかなかった。
思い起こせば確かに、ルルーシュはいつも下をタオルで隠していた…。
だが。

「…ぼ、僕は…隠してなかったんだ、けど…」

エリア11―あの頃は日本と呼ばれていたが、日本では温泉や銭湯といった、共同浴場
の風習があった。
もちろんそれに慣れていたスザクは真っ裸で風呂に入ることには全く抵抗はなかった
から、隠すはずもない。ルルーシュがその部分を隠していたのは、ブリタニアでは共
同浴場の風習がないから、そういったことに慣れていないだけだと思っていた…。
それが、本当は女の子だった、なんて。

スザクが何にショックを受けているのか、どうやら分かったらしい。
ルルーシュは頬を染め、「でも、覚えてないから…」と小さく呟く。
はっきりいって、あまりフォローにはなっていない。
スザクは嘆息する。

「…ごめん、スザク。やっぱり、怒った…?」

不安げに訊いてくる。
スザクは首を横に振った。実際、怒りは感じていなかったからだ。

「…ただ、やっぱり驚いてるし、混乱してるんだ。もちろん、女の子だからって、ル
ルーシュがルルーシュじゃなくなるわけじゃないんだし…!?」

言葉の途中でスザクは面食らった。ルルーシュがいきなり「…ありがとう、スザク!」
と抱きついてきたからだ。
しっかりと触れてくる胸の膨らみ。
さっき抱きつかれた時は感じなかったけれど、一体どうやって隠していたのだろう。
柔らかな感触がぐいぐいと押し付けられて、スザクはどうしていいか分からなくなる。
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