愛情夢恋愛 下書き
□第二話
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幸村……、お前って人間か?
あれから、幸村の城に向かっていた俺は幸村に黒色の着流しを買ってもらってそれを身に着けている。
あのネクタイにワイシャツじゃ目立ち過ぎてなんだか居たたまれない気持ちになるからな…
まぁ、その後、幸村の案で団子屋に行ったわけだが……
幸村の横にある団子がエレベストのように高く積まれて見えるのは、俺だけだろうか…
「幸村、お前団子何本頼んだんだ?」
「40本でござる」
まだ20歳前半の俺だけど耳だけはもう衰えてきたのかも知れない…だって、幸村がなんて言ってんのか分らなかったからだ……
「すまん、幸村。もう一回言って」
「だから、40本でござる」
「あー、40本ね〜……って!おい!!」
40ってヤバくない!絶対にヤバいよね!!ちょっ!迷彩忍者こと佐助さん?!
佐助さんをみると、『ウチの旦那いつもあんな感じだから』って言うように苦笑する。
「どうかしたでござるか?零兎殿」
「……よく太らないな」
「しっ、しし、失礼でござるぞ!!零兎殿!」
失礼もなにもカロリーが半端ないと思う。
「俺だったら太ってる……」
「某は毎日鍛えているので太らないのでござる!零兎殿も某と一緒に鍛えたらいいでござるよ!」
幸村は太陽のような輝かしい笑顔を俺に向け、言い放つ。
なっ、なんて輝かしいオーラなんだろうか。その神々しさに思わず、イエスと返事をしたくなった俺だが鍛練は正直嫌なので断っておこう。
「あー……それは、遠慮します…」
「………そう、でござるか……」
俺が予測した通り、幸村は俺が断ると見えない犬の耳と尻尾をフニャンと下げ、どんよりとした空間になる。
…まるで犬だ…真田犬だ!
また余計な事を考えて幸村を見ていたら、横からヒョコッと佐助さんが顔を出してきて、幸村の頭をバシッと叩いた。
「ほら旦那!零兎さんが困ってるでしょ」
流石佐助さん!!主である幸村にそんな事をするのはどうかと思うけど、二人のやり取りを見てるとまるで親子のようで、それだけで二人の絆がどれ程のものか分かる。
まぁ、親子って言っても佐助さんはオトンって言うよりどちらかと言うとオカンよりなんだけど
「すまぬ…零兎殿…」
幸村は尻尾と耳を下げたまま、目を潤ませて俺を見つめる。
そっ、そんな可哀想な顔で謝られたら…、俺悪い人見たいじゃんっ…!!
「そんなに落ち込むなって!見に行くだけなら、たまには俺も行ってやるから」
あまりにも幸村が可哀想なもんで言っちゃったけど…、ここは『たまには俺も一緒に鍛える』とかの方がかっこ良かったかもしれない…
「本当でござるかっ!!!!!」
「ああ」
まぁ、俺が頷くと幸村は嬉しそうにほほ笑んで、思いっきり尻尾をブンブンと振ってくれたので良しとしよう。
どうしてこんなになついてしまったのか…
「……話もいいけどさ、旦那は早く団子食べてくんない?俺様まだ仕事が沢山残ってるんだよねー」
また、俺達の間にヒョコっと顔を出してきた佐助さんは主に幸村の方を向いて言うと、笑顔でそう言った。
……けど、声が笑ってませんよ。佐助さん
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