短編 下書き
□嫉妬、愛情、独占欲…
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なぁ…、政宗、お前は今
どこを見ている…
何を考えてる…
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一ヵ月ほど前の事だ。
この奥州を率いる、武将…伊達政宗が突然、姿を消した。
奥州内はパニック状態に陥り、それをチャンスにと織田軍が攻めに来ている。
このままじゃあ、奥州は織田に潰されてしまう…
「零兎っ!!」
部屋の中にいた俺は、外から聞こえる声に、視線を襖に向ける。
急いで立ち上がり、襖を開けると、そこには息を切らして疲れ果てている小十郎の姿があった。
「どうした!?小十郎」
「政宗様は…、政宗様はまだ見つからねぇのか!!」
小十郎が怒りにも似た声音で俺に言い張る。
「すまん…、探してはいるんだが…」
その先は言わずに、小十郎から目を逸らす。
それで、察したのか小十郎は深い溜め息をつき、先ほどから握り締めている手を壁に叩きつける。
「俺がもっとしっかり政宗様を見ていればっ!!」
「…小十郎だけのせいじゃないだろ?そんな、自分を責めるなよ。俺も、頑張って探すから」
眉間にしわを寄せて自分を戒めている小十郎の背中を軽く叩きながら、慰める。
すると、小十郎は少しだけ顔の力を緩め頷いた。
「そうだな、ここで話していても何も変わらねぇ…、俺も頑張って探そう。すまなかったな、零兎」
「いや、いいよ。小十郎がイラつく理由も分かるし、…政宗、早く見つかるといいな…」
「…あぁ」
小十郎は始めより大部落ち着いた感じで、俺に囁く。
「んじゃ、俺はもう少し政宗様を探して来る、お前はどうする」
「あぁ、俺は少し行く所がある」
「…そうか」
小十郎はそう言うと、俺に背を向けて、歩いて行ってしまった。
俺がその背中を見て、笑っていることに気付かずに……
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