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□今だけは
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「ふふん。ここまで来たらまた子もわからないアル!!!」



今日も高杉のもとへ遊びに来ていた神楽。


最近は木島また子をからかって遊ぶのがお気に入りで、また子もまた子で簡単に乗っかってくるので2人の追いかけっこも、定番となってきた




「どっかに隠れる場所…」


慣れ始めた船内を歩いて身を隠す場所を探してみる



――――ドン



「ぶふ!!!!」



「おっと」



曲がり角を曲がると何かにぶつかってしまった



「つぅ……」



ぶつけた鼻を抑えながら見上げるとそこには、三味線をしょったサングラスの男がいた



「大丈夫でござるか?」




「あ!!漫才!!!丁度良かったアル!!!今また子と鬼ごっこ中ネ!!!かくまうヨロシ!!!」



「万斉でござる;;今は忙しいのでな。また機会があったら…」



来た道を引き返そうとした時、桜色の髪の少女に腕を掴まれた



「クソガキィ!!どこ行ったっスかぁ!!!」



また子の声が近づいてくる



「来たアル!!万斉ぃ〜お願いアルぅ」



青い瞳をいつもより光らせる少女



どうやら自分はこの娘に弱いようだ




「仕方ない、こっちでござる。」



か細い腕を掴むと近くにあった部屋に少女を引っ張った




―コンコン、ガチャ



「チビぃ!!!ここに隠れたっスか!!!!」



また子は勢い良く扉を開けると万斉が三味線弾いていた。



「また子、どうしたでござるか??」


「あっ!!すいませんっス;;!!ここにあの生意気なガキ来てなかったっスか?」



「いや、見てござらんが」



「ったく、あの小娘どこ行ったっスか!!!捕まえたら絶対許さないっス!!!」


――バタン



扉の前でまだまた子の声が聞こえたが、すぐに通り過ぎると、また遠くで神楽を呼ぶ声がした。





「どうにか逃げ切れたでござるな。もう出てきていいでござるよ」




万斉が呼ぶと、布団の中からゴソゴソと神楽が出てきた


「ブハハハハ!!!バカまた子には捕まらないネ。それより…助かったアル!!ありがとナ」



少女は可愛らしい満点の笑顔を向ける。


また子には悪いが、この娘に協力して良かった


何て思う自分に苦笑をする。



「別に礼などいらぬでござる。」



弾いていた三味線を床に置くと神楽の横に腰をかけた



「ここお前の部屋アルカ?」



少女は入った事がない部屋をキョロキョロと見渡す



その姿がまるで小動物の用でつい笑ってしまった


「その用なもんでござるな。」



「ふーん。」




なぜこの娘は、いつも目を剃らないのだろう


そしてなぜこの娘を…




「んん…」




「どうしたでござる」





「万斉…」




「どうした」




神楽は万斉の手を握った


「お前の手おっきいアル」


―――ドクン。





「眠い…のでござるか?」



少女は今にも寝てしまうのではないかと思う位に目を閉じかけている



だが、この状況で寝られたら…




「晋介が待ってるでござる」




晋介…




この娘は晋介の…





「すぅ…」




小さく寝息を立てて眠りにつく少女が




余りにも警戒心なく幸せそうな姿になぜか起こす気になれなかった




「神楽。」




少女の名前を始めて読んで、起こさないように桜色の髪の毛を触った






「結局は拙者もロリコンでござるか…」





晋介






「今だけは…」





握られた手を握り替えすと少女の額に唇を落とした






END

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