short

□笑って
1ページ/1ページ







「銀ちゃん!!!銀ちゃあん!!!!!」




泣きながら駆け寄ってきた少女の体を強く抱きしめる



「お前何で泣いてんの?銀さんなら全然大丈夫だから」



お前のそんな顔みたかねえよ



「そんな血だらけになって平気な訳ないアル!!もうやめてヨ…!!!」



どくどくと流れでる血が小さく震える少女の体を真っ赤に染める



「わりぃな神楽。お前の服汚しちまって…」



抱きしめる力を緩めると泣きじゃくる少女に微笑みかけた




「銀…ちゃん…やめて」




いつもならコイツのお願いだったら何でも聞いてしまう。


だが今回は聞いてやれそうにもねぇよ




「ねぇ銀髪のお侍さん。そろそろ妹を返してよ」



不適な笑みで近づいてくる男を睨みつけると、今にも壊れそうな体を起こす。



「ッツ…誰がテメェに渡すかよ……不良少年。…神楽下がってろ。」



「…銀ちゃ…」




泣くな




「そんな体で俺に勝てると思ってんの?やっぱり人間は弱いや。そんな奴に神楽は渡せないよ。」




お前は俺が守るから



「言ってくれるじゃねーか。侍なめんなよ?」




「めんどくさいなあ」




グシャ!!!!!



鈍い音と共に真っ赤な血が飛び散った




「銀ちゃん!!!!!!!!」




惨いほどに砕けた体が脆く崩れていく。
真っ赤に染まった景色と一体化する真っ赤な体




「銀ちゃん!!!死んだらダメアル!!!銀ちゃあん!!!」




「か…ぐら……。」




何やってんだ俺。



大切なもん1つ守れねぇのかよ




「あれ?死んじゃった?まあいっか。神楽おいで。」




嫌だ。死なないで。




銀ちゃん!!!!!!




「帰ろうよ神楽。」





「……誰…が…死んだって?」




「!!」




瞬間的に放った刀は神威の体を突き刺した



「死んでたまるかよ。」




ポタポタと落ちる戦うために生まれた夜兎の血液



「……そうでなくちゃ。」




神楽。




もう泣かせない




「銀さんを本気にさせて、どうなるかわかってんだろうなあ?」





お前の笑顔のためなら





何でもするから








END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ