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□星に願いを
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三千と輝く星々
赤、黄色、青、緑
様々な色が暗闇で輝く


キラリと1つ流れて
それを指差し少女は立ち上がった



「あ!流れ星ネ!!」



あっとゆう間に消えた星を、満足そうに見送った。
そんな少女を見ていた俺は流れ星を見る事が出来なかった



「早く帰らねぇと、万事屋に説教されるぞ」



煙草の煙か、吐き出した息か、空中に漂った白い物を眺めていると少女は鼻を啜りながら再び座った



「大丈夫アル、銀ちゃん飲みに行くって言ってたネ。だから遅くなっても平気アル…」



少し寂しそうに、神楽は星空を見上げて呟く様に言った



「そうかよ」



煙草を足で踏み潰し、神楽の隣まで行くとヤンキー座りなようにしゃがむと、青い瞳と目が逢った。

何故かその目を見ていられず不自然じゃないように目をそらす



「…なんだよ」


「トッシーはもう帰らなきゃいけないアルか…?」



この大きな夜空に消えて無くなりそうな声でそう言った



「誰がトッシーだ、トッシーはもう死んだ!!…別に急いで帰ってもどうせ何もする事ねぇし。」


何やってんだ俺

明日は朝早くから仕事がある上に、片付けないといけない書類がまたまだあるってぇのに




「まじでか、よかったアル!!!」



そんな顔を見てしまったら帰るにも帰れねぇ



「…さっきまで迷子になって泣いてた奴が、すっかり元気じゃねぇか」



「な、泣いて何かないネ!!!…でも助かったアル。あそこで来てくれてなかったら家に帰れなかったネ」



「ふっ…やけに素直だな。で、願い事は言ったのか?」



迷子になっていたチャイナ娘を、パトカーで巡回していた時たまたま拾った


そんなチャイナ娘が星を見たいと言うので仕方なく街が見渡せるここに連れて来てやったのだ



「ん〜…流れるの速すぎて、願い事言う前に消えちゃうネ」



「ありゃ無理だろ。流れてる内に三回も唱えるなんてアナウンサーでも言えねぇよ」



「アナウンサーにできなくても、私にならできるアル!!!!」



何処からでてくる自信なのか、チャイナ娘は再び流れ星が流れるのを待っている


必死に目を凝らすその姿に、不覚にも可愛いなんて思ってしまった



(バカかよ俺…)



でも



「そんな叶えてぇ事ってどんな願いだよ」



土方はそう言うと、神楽の顔を掴んだ



チャイナ娘は目を丸くしている



無理もねぇ、

きっとコイツにとって《コレ》はファーストキスなのだろうから




「―――…。嫌がんねぇんだな」



名残惜しい唇を離し、神楽の頬を触る



「……お前私が好きアルか?」



俯いたまま表情をみせない神楽に土方は手を離すと、小さな手を握った



「…好きじゃねぇ奴にこんな事しねぇよ」



どうかしてる


こんなガキに


惚れちまうなんて…




「…なら、……………………私の願い事は叶ったアル!!!!」




ああ



本当にどうかしてるよ




「じゃあ…よそ見ばっかしてんじゃねぇよ…」



可愛らしく微笑んだ愛しい少女の唇に
何度も何度もキスをした




俺以外





何も見えない様に






(お前は俺だけを見ていればいい…)









END

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