gift

□answer=happy?
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その答えはもう心の中に―



*answer=happy?*



「俺と結婚してくれないか?」

この一言を言えたらどんなに楽なんだろう。

そしてあのすべてを優しく包み込む柔らかな笑顔で言ってくれるのだろうか?

「・・・はい」

この一言を。



なぜこんなに悩んでるのかと言うと。

俺は一度闇に染まった人間。
そんな俺がアイツを幸せにできるのだろうか。
こんな俺が幸せになりことは許されるのだろうか。

そして何より、アイツは望んでいるのだろうか。
俺と一緒になることを。












「サスケ君、どうしたの?具合でも悪い?」


「いや、大丈夫だ・・・」

覚悟を決めて来たつもり。
だが俺の口はこんな時に限って無駄なことしか言わない。

なぜだ。

なぜ言えない?

それはやはり俺が"闇"に怯えているからなのか?

それとも自分から逃げている?

いや、どれも違う。

そんな気がする。


その日、俺の口からあの一言が発せられることはなかった。




そんなある日。


「は〜い。今日はある上忍の護衛をするからね〜。」
今日はいつも通りの任務。
雲隠れの里に長期任務に出向いている上忍の護衛。
なぜ、そんなやつの護衛なんかと思ったがカカシから理由を聞いてすぐ納得した。

「あ〜、あのね。長期任務に行った上忍っていうのは二人でね?その内の一人が妊娠したわけよ。」

つまりはカップルの上忍が同じ長期任務に出向き、その先で妊娠が発覚したと。

「で、その女を護衛するんだな。」


「うん。でもサスケは女の人じゃなくて男の人ね。」

「・・・は?」


「女の人はナルトとサクラと俺で足りるからさ。男の人も急なことで動揺してるみたいだし。」


「わかった。」


「じゃ、着いた事だしさっそく任務につくとするか。その男の人の名前は"銀河"だからね。忘れちゃだめだよ。」

その間に俺はカカシとしか会話しなかった。



「キミが・・・サスケ君かい?」


「・・・はい。銀河さんですよね。」

その男からは動揺なんて微塵も感じなかった。


「うん。実は・・・任務に行く前から知っていたんだ。」


「!!じゃあなんで・・・」


「駆け落ちする予定だった。俺は昔里を抜けたんだ。俺は彼女に会いに行った。そこで火影に見つかって・・・」


「素性を隠したと?」


「いや、火影にそんな嘘通じるはずがない。火影は受け入れてくれた。」

じゃあなぜ駆け落ちなんか・・・?

「でもやはり里の目は冷たかった・・・しかも彼女は村主の娘、わかるだろう?」
そういう事か。
火影が受け入れてくれたとしても周囲に受け入れられなければ結婚なんて出来やしない。

「しかし、まったく俺達も馬鹿だったよな〜」


「?」


「そんな事、周囲に話してみてから決めれば良かったのによ。端っから諦めて長期任務を利用して駆け落ちしようなんざ、夢じゃあるまいし。」

話してみてから・・・?
耳を傾けさえしてくれないんじゃないか?

「俺、里に戻ったらアイツの両親に話そうと思う。耳をかしてくれなくたっていい。独り言だと思われたっていい。いつか、アイツを愛してるんだと知って貰えればいい。」

すごい・・・

俺にこんな勇気は・・・


「キミも・・・昔の俺みたいな目をしてるな。俺が里に帰ってきた頃のような・・・」

闇を知った人間にはわかるのだろうか。
闇に怯えている者の眼が。

「でもキミには俺みたいに可愛い彼女がいるから大丈夫だろう。ただ俺達みたいに駆け落ちなんかするんじゃないぞー。こんな事になっちゃうから。」


「なっ!?」

気配を感じ後ろを向くと、ニヤニヤした銀髪野郎が木の枝に乗りいかがわしい本を読んでるのが目に写った。

「カカシてめぇ!!!」


「まぁまぁ。さってと。妊婦さんも無事病院に運ばれたし、帰るとするか。」

逃げようとするカカシを追いかけようと一歩踏み出した時、後ろから声をかけられた。


「応援してるよ・・・サスケ君。」


「ありがとうございます。」

俺はそう言ってカカシを追いかけた。



「サスケ君!!」

走ってまもなくサクラに名前を呼ばれた。

「サクラ」

俺は足を止め、サクラの方を向く。
ナルトはいつのまにやらカカシの隣にいた。
そして口パクで俺に言ってきた。

"頑張れってばよ"


"わかってる、さんきゅ"

俺も口パクでナルトに返すと、サクラに向かって言った。






「俺と・・・結婚してくれ。」
















一年後―


「結婚おめでとー!!」


たくさんの声を浴び、若夫婦は笑顔だ。
桜色の髪をした新婦に黒髪の新郎。


「サスケ君、おめでとう。」

「銀河さん!・・・ありがとうございます。」


「あの後こいつの両親に話したら時間はかかったけど許しを貰えたよ。今日は妻だけじゃなく子供も連れてきた。」


「お子さん、可愛いですね。」


「あなたがサスケ君ね。ありがとう。そしてサクラちゃん、おめでとう。」


「ありがとうございます!!」

闇に怯えていた眼はいつしか幸せに満ち足りた眼になっていた。




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