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□好きな人
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<<"君が好き"の続編です。サスサク要素がかなり含まれます。>>





*好きな人*





「君が好き」




サイにそう告げられてから三日が経つ。

あの後、私は何も言わずに走って家に帰ってしまった。
サイ、傷ついちゃったかな?

でも、急にあんな事言うから。
ううん、急にあんな事するから。
びっくりするのは当たり前だわ。

でもサイ、そういうのわかってなさそうね・・・


「サイ・・・か」



あれがサスケ君だったら良かったのに・・・なんてあらぬ事を考えてしまう。

サスケ君はあんな事言ってくれないってわかってるのに。
サスケ君はあんな優しく言ってくれない。
言ってくれるのは乱暴な愛の言葉だけ。



「はぁ・・・忘れてたわ。今日なのよね。」



重い腰を上げ、カレンダーを見る。
今日の日付には赤い丸がしてある。
極秘任務の印だ。



あんな任務、なぜ受けてしまったんだろうと今でもずっと後悔している。
でもあの時は、いや、今でも拒否することは出来ないし、許されない。


サイにあんな事を言われてされた時、何も言わずに逃げてしまったのは、この任務のせいかも知れない。

この任務を受ける前だったら素直にサイの胸に飛び込めたんだろう。
「私も、好き」
とか言って。

でもこの任務を受けてしまった私には素直にサイの胸に飛び込むことは出来なかった。


罪悪感なのかな?

それとも私はサスケ君から離れなれないから?


・・・両方かな。

そう思いながら支度を始める。
夜明け前にはあの場所に居なければならない。



「サイ、次会ったときにちゃんと返事するわね。」

そう新七班の写真に話しかけて私は家を出た。

















「・・・今日は早いんだな」


約束の場所で待っていると、いつものように夜明けぴったりにサスケ君がきた。



「いつもの事よ。それより・・・いつになったら終わるのかしらね?この密会。」


今日は全てが投げやりな気持ちになってしまう。

この任務も。
サイへの返事も。

サイになんて言おうかしら・・・

これからも友達として?
仲間として・・・?


駄目だわ。
いい答えが見つからない。
それに今は、この任務に集中しなければいけない。暗部の監視下に私は居るのだから。



「・・・密会だと?俺はそんなつもりはない」


「あなたはそう思ってても私にとったら密会なの。今のは忘れて。早く宿に行きましょ」



サイへの返事は、この任務が終わった後に考えよう。


私とサスケ君はいつもの宿へ向かった。



話しておかなくちゃね。
"この任務"のこと。


この任務―
サスケ及び暁情報収集任務とは、イタチなくした今、サスケ君は木ノ葉を狙ってくるに違いない・・・ダンゾウがそうにらみ、スパイをサスケ君に送りこむ任務。

当初は暁にもスパイを送るはずだんだけど、暁に入るのは木ノ葉の暗部ですら難しい上、上手くスパイに成功したとしても帰ってくるのは不可能に近いと上層部が判断して、サスケ君の元にだけスパイが送り込まれることに決まったの。


最初は暗部によっておこなわれるはずだったの。

だけどそれを綱手様は拒否した。
それは危険すぎると。
暗部の事だ。
綱手様になにも言わずサスケ君を殺してもおかしくない。
現にサイがその任務を任されていた事があったから。

だから綱手様は暗部に木ノ葉の誰かをサスケ君の元に送り込むなら任務を実行してもよい、という条件つけで任務を承諾した。

そして私に白羽の矢がたった。


理由は、
「君はサスケのチームメイトだったし、サスケも君なら話すかもしれないと思ってね。」
だ、そう。


正直、逆だとその時私は思った。
私はサスケ君にとって足手纏いで、しかもしつこいやな奴だと思うから。
だから、スパイにすらなれる自信がなかった。


でも次の暗部の言葉で私の思いは一変した。


「君には申し訳ないと思うが、スパイと言ってもむこうの懐に入るわけではない。月に何回か密会して、そこでサスケを誘惑して話すように仕向けるんだ。」


・・・つまり、つまりはだ。
サスケ君に色をしろと?
だから、私だったんだ。
そう。
暗部のこの言葉ですべて理解できた。

私はサスケ君とチームメイトで尚且つ私はずっとサスケ君の事が好きだった。
だからサスケ君にも情があるのでは、と考えたんだろう。

あったまいいんだから。



それから、月に何回かサスケ君と会ってお互いを重ねながら、情報を収集してる。


今日はもう八回目だ。

初めの密会は、サスケ君に会える嬉しさと、その再会の形が最悪なものだという悲しみとで複雑だった。


久しぶりに会ったサスケ君はあの頃よりも大人になり、格好良さにはさらに磨きが掛かってた。

でも、心は深く傷ついた後があった。
目には見えなくても私にはわかってしまった。

サイに答えられなかったのは、それが原因かもしれない。


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