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□第一夜 運命ノ歯車
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「今日は百年に一度と言われている大流星群の日です。皆さん、是非とも流星群を今夜実際に見てみて下さいね」
大学部の教師兼教授が生徒達に言った。
「(大流星群ねぇ…)」
ちゃりんっ、ピッ、ガコン。
自動販売機でペットボトルのコーラを買い、蓋を開けて一口飲む。
「…時間があったら見て見るか」
「おーいっ、ユーリ!」
「兄さん。仕事は?」
「今日の分は終わった終わったっ」
双子の兄神威≠ェ學園の門付近で車と一緒に煙草を吸いながらユーリを待っていた。因みに神威は人気モデルとして様々な雑誌で活動している。
「ふーん。で、迎えか?」
「おう!」
「それは、ご苦労さまです」
ユーリは車の助手席に、神威は運転席に乗り込んだ。
「なあ、そういえばさ」
「あ?」
「今日は大流星群らしいな」
「ああ、らしい。教授等が言ってたよ」
「だろうなと思った。あとさ、ユーリ」
「?」
「彼女とか出来たか?」
「ブッ!??」
「大丈夫か?!」
「けほっ、ゴホッ…。なんだよ、いきなり…珍しいな」
「いや、ただ 気になっただけさ」
「……ま、いいけど」
「で?出来たりしてるのか?」
「いねぇよ。作る気もねぇ」
「そーか、よかったよかった」
「なんで兄さんが安心するんだ」
「あ…いや、…別に?」
「何故に疑問形だ?。オレは禁断の兄弟愛≠ニかは遠慮するからな」
「え゛…!!!?」
「……マジだったのか」
「え、あ…、あははは〜…」
「〜…、呆れた」
ガーンとショックを受け、涙をダーと流す神威に更に呆れた様子のユーリ。
――鴉坂家。
剣術の稽古をし、夕飯を食べ、時計は午後8時を差していた。
「もう8時か…」
喉が渇き、部屋から出て冷蔵庫を開ける。
「……炭酸ないし」
冷蔵庫には目当ての飲み物がなかった。
パタンと扉を閉める。
「はぁー、しゃあねぇ。コンビニに買いに行くか」
フードのついた上着を羽織り、玄関に向かう。
ガラッ。
「お、兄さん」
「ただいま〜弟よ〜」
実はユーリを自宅へ送った直ぐ後に、マネージャーから急に仕事が入ったと電話があり、至急 仕事場のスタジオへ行っていた。
「よーやく終わった…」
「長かったな」
「ははは…。ん?どっか出掛けるのか?。はッ!!?、まさか、かのじょ――」
「違うから!」
「だよなー。じゃあ買い物か?」
「ああ。炭酸がなかったんだ。コンビニに買いに行ってくる」
「俺が行って来ようか?」
「いんや。コンビニって言ってもいつもんとこだし。そう距離もないから、歩きで行ってくる」
愛用している運動靴を履き、爪先をトントンとして踵を入れる。
「兄さん、疲れてるんだろ。夕食、食べてないならテーブルの上にラップで包んで置いてあるから」
「サンキュー」
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。夜道は危ないから気をつけろよ」
「オレは女か…」
「お前は女よりも狙われる」
「何でだよ!!!?」
――――。