オモテU

□君ヲ守リ君ヲ愛ス
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妊娠した。



ずっと生理が来なくって、変だ変だと思ってた。



そして、時々の嘔吐も。



それで立ち寄った島の医者に、診てもらうことにした。



『おめでとうございます。二ヶ月ですよ』



にっこり笑った医者に、何て答えたかなんて覚えてない。



妊娠したって事実に、頭がついていけなかった。



呆然としてる私の様子から悟ったのか、



『産むか堕ろすか、相手の人と良く相談して下さいね』



困ったように医者は笑った。



その時、少しだけ実感したの。



私のお腹には赤ちゃんが居る。



その子を産むか産まないか、決めなきゃいけない。



産んで育てるのか。



堕胎してその子を想って生きるのか。



私は決めなきゃいけないんだ…



妊娠って重いことなんだ…



考えたら怖くなった。



本当に育てられるの?



海賊の子として生まれても、子供は後悔しない?



育てるなら、船を降りなきゃいけないの?



でも、堕ろすって殺すことだよね?



堕ろしたら一生後悔するんじゃないの?



ぐるぐる…いろんな思いが頭を巡る。



それからもう一つ、不安があった。



相手のゾロは…



ゾロは私の妊娠をどう思うの?



子供ができたって知ったら、何て言う?



産めって言う?



堕ろせって言う?



それを聞くことすら怖くって。



どうにも出来なくて。



暗い気持ちのまま、サニー号へ戻った。


 
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