オモテU

□eyes on
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肌寒さで目が覚めた。



夏島の秋とはいえ、それでも夜はちょっと冷える。



寝ぼけながら薄く眼を開けるものの、どこかの臓器のモヤモヤはしっかり感じてた。



胃かな…腸かな…って、原因は飲みすぎ以外にないよね。



「起きたか?」



頭上から降ってきた声に少しだけ顎を上げれば、呆れたようないつも通りのような視線とぶつかった。



「寝てた…?」



「あァ。このまま起きねェかと思った」



ぐび…とお酒を流し込んで、一人酒を続けるゾロ。



他の皆は、と周囲を見渡すと同時に認識する鼾の大合唱。



やっぱり毎度のことながら、ゾロの誕生日を祝って皆でつぶれたらしい。



起きてるのは当然ゾロだけ。



「主役を一人にして…面目ない」



「いつものことだろ」



指摘はごもっとも。



でも、今日だけは眠らずに起きていたかったな。



だって、皆でお祝いした後に二人だけでお祝いしたいもの。



飲み過ぎないように注意してたはずなのに…



どうしてこうなっちゃったんだろう。



「ていうか……私、ゾロの上で寝た?」



「いや」



あぐらをかいたゾロの足の上に頭を置いて、寝転がってる。



こんな状態で寝入った記憶は、どこにもなくて…



じゃあ、ゾロがした…?



「……………」



なんとなく聞きづらくて、疑問は忘れることにする。



ゾロ、私を側に置いておきたかった?



なんて言うの、ちょっと恥ずかしくて。



足枕はちょっとゴツゴツしてて、骨なのか頭に固いものが当たって痛い。



でも、ゾロを真下から覗けるってなんか面白いかも…



見慣れないアングルのせいかな。



だから退けと言われないのをいいことに、起きたのにそのままにしてた。


 
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