オモテU

□HAPPY BIRTHDAY
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登る見張り台へのロープはどうやったって軋むから



驚かせたかった相手にはバレバレで



「ほら」



「…お手数掛けます」



抱き上げて中に入れてもらう始末



その上、誕生日おめでとうと告げれば、わかってたと言わんばかりに笑うから



何だか悔しかった



それが顔に出てたんだろうか



「お前の考えてることなんかバレバレだって」



ケラケラと楽しそうに笑ったから



少しだけ、頬が熱くなる



でも



それはそれでいいかも



なんて、単純だけどそう思ってしまった



「ゾロ」



それからもう一つ



伝えたいことがあった



「生まれてくれて、ありがとう」



これは予想してなかったのか



鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をして



「…ありが…??」



わけがわかんねェと呟いた



そんな様子が面白くて笑ったら



「名無し」



いじけたのか、毛布の中で強く抱き締める



だってね、ゾロ



貴方が生まれて来なかったら



抱き締める腕の強さも



人の温もりも



愛しいと思う心も



一人ぼっちだった私には



わからないままだったのよ?


 
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