オモテ
□小さな幸せ
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「…寝てんのか?」
「起きてるよー」
うっすら目を開けて、小さく返答する。
見える世界には、ゆっくり流れていく白い雲。
白い雲の合間には、海の色と同じくらい真っ青な空。
そして、視界の端々にぼんやりと黄色の花が揺れてる。
「………」
頬を撫でる風が花の香りを運んでくれて、暖かな日の光と香りを楽しむ。
心地良い春の風景は眠気を誘うには十分だったが、名無しは口許を緩ませてにんまりしていた。
(ゾロと二人でのんびりなんて…!うれしいよ〜//)
内心小躍りしているのだが、ゾロに「くだんねぇ」と呆れられるのが嫌で、目を閉じてごまかしていたのだ。
穏やかな陽射しに喜びいっぱいの胸。
(こんな日が、続きますように…)
【小さな幸せ】