オモテ
□約束の桜
1ページ/7ページ
また、この場所に来ることがあるときは。
それで、終わりにする。
大きな木の前に立って、自嘲気味に笑った。
サクラが太陽の光を花びらに受けて、時々煌いてる。
澄んだ青空と淡いピンクは対照的で、綺麗だった。
暖かくなる季節とはいえ、肌寒さは残っていて。
春風は時に冷たく、俺を撫でる。
『風邪ひくよ…?』
『俺ァ風邪なんかひかねぇ』
『ダメ!ゾロが風邪ひいたら会えなくなっちゃうもん』
『……わかった』
俺に上着をかけてくれたアイツの声が。
ここに来たら、ふと、頭の奥を過って。
少しだけ、過去という箱を開いた。
【約束の桜】