オモテ
□螺旋
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その瞳は未来だけを見つめ。
その腕は強さだけを求める。
貴方が望むのは世界一。
それだけを求めてここまで来たんでしょう?
私はそれを知ってる。
知ってるのに…。
『あったけーのな、名無して…』
あの日、抱き締められた腕の感覚を今でも忘れられずにいる。
背中に感じた厚い胸板。
望むものすべて掴んでいくような掌と。
耳をくすぐった吐息が。
思い出す度に身を焦がして、息苦しくさせてるの。
誰かのものになりたいなんて、そんなこと思ったのは初めてで。
叶わないってわかってるのに。
わかりきってるのに。
どうしようもなく、貴方に恋してしまった。