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□過去拍手
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九月分/全・五種
お題提供/確かに恋だった様
幼馴染に恋に五題
「もう恋は始まっていた」










最近変わった。



昔から一緒だった、
だから身長の変化とか
少しずつ大人になっていく姿
そんなものをあんまり気づかなかった
よく偶に会うおばさんとかに

「錫也君、大人になったわねぇ」

とか言われてる。
私はそこで気づく、

(確かになぁ)

と思う。
月子もそう言ってた。
うん、毎日会ってるとそういう変化に気づけないんだ。
いつの間にか私よりも身長も大きくなってたりして



「どうかしたのか?」
「・・・っあ!ごめん、なんか言った?」
「いやこの前言ってた、卵焼き甘くしてみたんだけど・・・」



今は食堂で錫也の料理のお勉強中・・・
まっ、私は食べる専門だけど。
錫也が私の前にお箸で突き出してくる卵焼き
・・・食べろってことかな?



「・・・いただきます。」
「どう?」
「おいしー!!」
「良かった、」



と微笑んでいる錫也。
・・・あ・・
錫也って



(こんな大人っぽい顔で来たんだ・・・)



本当にこの前まで私の後ろをついて歩いていた
錫也とは思えないよ
じっと見つめていると錫也は
不思議そうな顔をして、
言う



「俺の顔になんかついてる?」
「は?ううん、大丈夫だよ」
「・・・っあ、少しじっとしてて・・・」
「うん?」



私は言われた通り、
じっとしている
すると錫也の顔が近づいて来て・・・
・・・近づく?
私は咄嗟に目を瞑った
すると・・・



「っと、良しっ、取れた」



私の頬に錫也の手が触れる
すると何かを拭って、離れた
その手はいつの間にか大きくなっていて
少し驚いた。



「・・・ん?どうかしたのか?」
「ううん、錫也いつの間にか大人になったなぁと思って」
「なんだよ、それ」
「いつの間にか大きくなった、手も身長も全部、」



そっと錫也の手に触れる
男らしい少し硬い手
頼りになるホッとするような手
私はその手を見つめる



「いつの間にかに・・・」



錫也が知らない人になりそうで、
私は、嫌。錫也が違う人のものになるのが
怖い。
切なくなってきた
何自分で言って、傷ついてんの
馬鹿みたい・・・



これは・・・
もしや・・・・
あの思春期にあるという何とも言えない気持ち・・・か?




「俺も、偶にそう思うよ」
「え」
「お前がいつの間にかに綺麗になって、あんなに凛々しかったのに可愛くなって・・・」



そんな照れたように言われると
こっちも困るんですけど・・・
でもこれは
世間一般で言う・・・・恋。
だとしたら・・・





「すずや!大きくなったらけっこんしよう」
「おまえがおおきくなってもおれのとなりにいたらな」
「やくそくね」








あの時と確か同じ鼓動。
同じ熱。
もしかしたら











もう恋は始まっていた
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