sunlight
□第一章
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今年は暑くならないだろうといわれていたが、クーラーのない学校はどこを歩いても暑かった。
そんな中、うっすらと額に汗を浮かべつつ1人の少年が人気のない廊下を歩いている。
今は授業中なので、廊下を歩いている生徒は少年以外にはいなく、不気味なくらい静まっていた。
少年は立ち入り禁止とかいてある看板を何の迷いもなく跨ぎ、階段を上る。
そしてズボンのポケットから何のキーホルダーも付いていない鍵を取り出し、目の前のドアを開けた。
ぶわっと吹いた風が少年の黒髪を揺らす。
少年、九十九綾瀬にとって一人でいるこの時間は唯一の休息だった。
綾瀬は屋上の真ん中まで進むと両手を頭の後ろで組んで寝転がる。
雲がゆっくりと流れている。
作り物のような青と白のコントラスト。
いつものように目を閉じる。
風を感じながら、睡魔に身を任せるのが好きだった。