sunlight

□第二章
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「静かに!はい、自己紹介して」

教壇に立った担任に促され、転校生である一条時雨は黒板に自分の名前を書き始めた。
がやがやと静まることのない教室。男子生徒の落胆する声に女子生徒の歓喜の声。
それもそうだろう、この学校は元男子校で数年前に共学になったばかり。
女子生徒は未だに3分の1にも満たない。
そんな学校での期待の転校生は男子生徒。こんな生徒たちの反応は仕方のないことだ。

クラスのほとんどが転校生に視線を向ける中、1人だけ目線も向けずに窓の外を見ている生徒がいる。
九十九綾瀬だ。
窓際の席の一番後ろにいる綾瀬は、どこかクラスメイト達との間に壁を隔てているようなそんな雰囲気を感じた。

「じゃあ、一条君。席はあっちね」

担任が指さした先は、綾瀬とは反対側の後ろの席。

「はい」

少し残念な気持ちで小さく返事をし、席へと移動した。

「俺、倉瀬達也。よろしく一条」

隣の席の男子生徒がにっこりと笑顔を浮かべる。
温厚な優男。
女子生徒に好かれるようなタイプの男だ。

「ああ、よろしく! 」
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