短編集
□FACK OFF!!
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雑誌や漫画、脱ぎ散らかした服が散乱する部屋に2人の少年がいた。
『あっ……ん……やっ』
聞こえるのは、男とは思えない甘い声。
『もっと聞かせて』
囁くような低い声に思わず息を呑む。
ちょうど家には2人しかいなく、どれだけの声が響いても文句を言う人物はいなかった。
「はあぁぁ……」
テレビを見つめていた龍二は大袈裟なくらい大きなため息をつく。
「まさか、お前にこんな趣味があったとはな」
さして広くない部屋で足をのばしながら、またテレビに目線を移す。
テレビの中では相変わらず、自分とそんなに変わらないであろう年齢の少年が甘い声を出していた。
「るせ」
もともと、このビデオを見せたいと言ってきたのは龍二の親友である克哉だった。
だから学校帰りに克哉の家に寄ったのだ。
克哉は龍二と違い、真剣な表情で画面に食い入っている。
龍二は近くに置いてあったビデオケースを手に取り、タイトルを見つめた。
「禁断の男子学園って……」
別に同性愛を否定するわけではない。
だが、誰だって親友が同性愛者だと知ったら驚くに決まっている。
こいつも男とこんなことしたいと思ったりするのか……。
そんなことを考えながら、画面と親友の顔を交互に見る。
「あ、龍二。こいつを見せたかったんだ」
克哉は画面を指差し、こちらに顔を向ける。
画面の中では先ほどとはまた違う二人が出てきていた。