短編集

□届かぬ願い
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「別れよう」

ぼそりと意を決したように呟く。

「嫌だっ!! 」

そして部屋中に響き渡る大きな声。

この部屋にいるのは俺ともう1人の少年だけだから、大きな声を出しても咎める者はだれもいない。

「やだやだ。絶対にいやだ」

同じ言葉を壊れた機械のように繰り返す。

「俺、嫌だよ。朝人の傍に居るって決めたんだ」

「仕方ないだろ。分かってくれ。俺はもう陸とは一緒にいれない」

陸は離すものかと抱きしめるようにしがみつく。
それを優しく離す。

「お前には幸せになって欲しいから。俺とじゃなくて、もっといい人と」

「……俺が好きなのは朝人だけだ。これからもずっと、朝人だけだよ」

離されてもめげずに、抱きついてくる陸。

こいつに敵わないのはとうの昔から分かっていたはずだ。
そして俺も、本心では離れたくなかったのだろう。

「じゃあ、もう少し俺の傍に」

嬉しそうに頷く陸の頭を優しく撫でた。





白い部屋の白いベッドに寝ていた俺。
君は飲み物を買ってくると部屋を出て行った。
静かな部屋に規則的になる機会音。


俺の寿命は、あと3ヶ月。


END
 

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