短編集
□同じ月を見上げて
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君と2人歩いてた、いつもの道
もう通ることのない道
淡い月が僕らを照らしてくれたのを
今でも鮮明に覚えてる
『好き』と言った君の苦しそうな顔
『ごめん』と告げた僕は一体どんな顔してた?
会いたいだなんて
今更、虫のいい話だけど
そう思ってしまうんだ
もう叶わぬ願いだって
そんなことわかってる
ただ、隣に君がいないことが
どうしても慣れないんだ
もしあの日に戻れるのなら
きっと君を抱きしめて
二度と離しはしないよ
不意に零れた涙
知っているのは
暗い自室から覗く月だけだった