sunlight
□第一章
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クラスにいるのは好きじゃない。
口うるさい女子生徒に、精神年齢の低い男子生徒。
どれも馬鹿らしくみえてくる。
綾瀬はクラスメイトからすれば存在感のない、不思議な少年という定位置だった。
べつにそれでもいいと思っていたから、というのもある。
友達なんかいらない。
裏切られるなら、恋人なんていらない。
そう思わせたのはあいつのせい。
忘れたはずの、ある同級生の顔を不意に思いだし、綾瀬は目を開けて顔をしかめる。
「くそが……」
吐き捨てるように言うとまた目を閉じる。
しかし、綾瀬の安息はすぐになくなる。
「あっれー?鍵、開いてた。ラッキー」
この少年によって。
思わぬ侵入者に、綾瀬は体を起こすと至極嫌そうな表情を向ける。
屋上は、内側から鍵をかけることは出来ないため開けっ放しということになるのだが、こんなことなら椅子などで開けられないようにするんだった。
そんな後悔を今更並べたところで状況は変わらない。