短編集
□FACK OFF!!
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「え……? 」
画面を見ていた龍二は素っ頓狂な声を出し驚く。
そして、だんだんと顔が引きつっていくのがわかる。
「似てるだろ?こいつ」
そう、似ているのだ。
今画面の中で甘い声を出している少年が、この自分に。
「俺も最初見たとき驚いたよ。お前が出演するとは思わないし」
世界に3人は似ている人がいるというが、ここまで似ているものなのだろうか。
顔立ちや体格、髪型まで自分に見えてしまう。
「……ビデオ、止めろ」
まるで、自分が喘ぎ声を上げているような錯覚を起こす。
自分じゃないと分かっていても、だ。
「なんで?あ、自分と重ねちゃうとか? 」
「分かってんなら、今すぐ止めろよ」
龍二は画面を見ないように背を向け、その辺においてある漫画をパラパラとめくる。
「俺も、重ねちゃうんだよねぇ」
「どういうっ……」
どういう意味だと聞こうと振り返ると、克哉がすぐ近くにいることに驚き少し身を引く。
「どういうって……龍二もこんな声を出してくれんのかなって、さ」
忘れていた。こいつはホモだった。
思い出したのも束の間、克哉は龍二の顎を持つと上に向かせ唇を重ねる。
振り払う暇もない、慣れたような仕草。
「んっ……はぁっ……」
あまりにも口を離してくれないため、息切れ寸前の龍二が息をしようと口を小さく開けると、克哉は待っていたかのように容赦なく舌を入れてくる。
ゆっくりと吸い付くように舌を絡め、克哉の舌が龍二の口内を犯す。
女の子ともディープキスをしたことがない龍二はすぐに熱い吐息を漏らし、体中の力が抜けてしまった。
それをいいことに克哉は龍二をベッドに押し倒す。
「んっ……ちょっ駄目だって……っ! 」
「どうして?こんなんになってるのに」
克哉の手が龍二の足の付け根を撫でるように触る。
するとビクッと体が震えた。
ビデオとキスの影響だろうか、熱を持っているのは一目瞭然だった。