恋人は同居人

□君の幸福、僕の憂鬱/西園寺雅季
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『君の幸福、僕の憂鬱』


西園寺雅季








太陽が燦々と輝いて
彼女の髪に天使の輪を作る





いつも三歩下がって彼女の姿を見つめる



となりには、僕とは違う。もう一人の自分が楽しげに彼女と会話していた。







何が違ったんだろう








どこで歯車が歪んでしまったんだろう





ネジはいったい何処へ行ったんだろう







頭の中でシミュレーションを繰り返す





もし









もしもあの時、僕が先に出逢っていたら?





もしもあの時、僕が雅弥より先に想いを見つけられたら?






もしもあの時、雅弥より先に君に好きと伝えたら?











もしも







なんて有り得ないのに





微かな希望を探さずにはいられない





そして、また雅弥の立場を羨んで虚しさだけが心に残る。







ねぇ、笑って?



君の笑顔が好きだから





例え







例え僕に向けた笑顔じゃなくとも







君の幸福が僕の幸せ




僕の幸せは僕を憂鬱にする






何が正解なのか解らない



数式の様に

この想いも解けたらいいのに





恋をするということは




なんて簡単で






なんて複雑なんだろう








まだ僕に答は出ない






ただ、今のこの瞬間が忌まわしい。








彼女が立ち止まった僕に気が付いて



僕が2人に追い付くまで止まる






また、三歩後ろを歩く僕に
笑顔をみせる君。





ちゃんと僕を見ていてくれる



例え
君と結ばれなくても



幸せだと感じられる





矛盾した感情。






君の幸福が僕の幸せ。


君の幸福が僕の憂鬱。
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