短編
□とにかく尻尾は振らない事!!
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ザァァア……
今日は大雨。
いつもなら濡れるから外になんか出ないんだけど………
とても遠くから聞こえる猫の鳴き声が気になって仕方がなかったんだ。
「ぅにぃ………」
「………いた。」
見つけたのは茶虎の子猫。
傘もかけられていないびしょ濡れの段ボールの中、ただ鳴いていた。
「ふみぃ…………?」
「…おいで。」
「……にゃ……にゃぅぅっ」
寒そうに震えたまま僕に飛び付いてくる。
「…………大丈夫?」
「ぅに。」
ワオ、僕の言ってる事分かるの?
少し安心して来たのかもぞもぞしだした。
「ウチに、くる、?」
ふに〜。と可愛い声を出しながらすり寄ってくるこの子猫のことを可愛い、と不覚にも思ってしまった。