短編

□縫いぐるみ。
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消えないで。

側にいて。


ひらひらひらと舞い落ちる幸せ
ゆらゆらゆらと揺れていた温もり

どう足掻いたって僕は僕のまま。
何描いたって僕は僕のまま。

『俺はっ、有りのままの雲雀さんが好きです!』

そう言って彼は僕の好きな笑顔でほほ笑んだ。


でもわかったんだ。
もう逢えない。
…わかったんだ

君がいないと生きてる意味が無い。


駅前でポケットティッシュを二個もらって帰る。

――もちろん、君と僕の分。

舞い落ちる幸せ。
揺れていた温もり。
『綱吉をいつか幸せにするから』
………誓ったあの日の声は僕だけの幻?

別れを知って強くなるらしい。
これ以上強くならなくてもいい。

君が側にいてくれるのなら何だっていい。

僕が悪いんだよ。
なびく髪押さえた手。
きらきらきらの指輪外されてた。

僕があげた、誓いの指輪。
恋人の証。

少し強がって笑ってたね。
いつもより遠く見えたんだ。
何も言えなかった。

アジトで涙目の君から目をそらした時に見た縫いぐるみ。

……付き合いたてのときにあげたものだ。まだ…持ってたんだ………。

……―あの時も君は可愛いかった。

縫いぐるみがウサギだったかネコだったかまでは覚えてない。



…僕は他の誰かではなく「今僕は綱吉を守りたいんだ。」


…そう思った事は覚えてるのに。

なんで君は一人で背負い込むの?
僕がそんなに頼りない?

……って言っても、君にはとどかないだろうけど。

舞い落ちる幸せ。
揺れていた温もり。
『君をいつか幸せにする』
と誓ったあの日の声は僕だけの幻…。


君が好き。
愛してる。




END



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