短編

□チョコレートと鉄砲玉。
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ウザいあいつは甘いものが好き。

甘い甘いチョコレートが好き。


だからあいつはきっとチョコのように甘いんだろうな、なんて思ったりする。

ちょっと悲しいなんて、


何でだろう。



【チョコレートと鉄砲玉】

「う、」

部屋がチョコくさい。

「あいつか…」

ぶつぶついいながら隣の部屋の戸を開ける。


「骸!!」

「おや、綱吉君ではないですか」

相変わらず変な髪形の骸が現れた。
変わったところといえば長く伸びた一部の髪くらいだ。

「帰ってきてたんなら言えよ!!」

「すいません。面倒だったもので。」

いやに正直だな、おい。

「ボスの真正面で言うなよ。」


―――そう、骸と出会って10年。
俺はボスになった。



骸が恨んでいる、マフィアのボスに。


「……ボスに、なったんですね。」

「……」

……なんと言われるだろうか。

“最悪”

“汚い”

“触れるな…”

頭に浮かんでくるのは嫌なものばかり。


「おめでとうございます。」


「え………」

意外な言葉に俺は目を丸くさせた。

(なんで、)




あいつが甘い奴なだけに、
拒絶されるのが怖かったんだ。






「でも、貴方の体は僕がもらいますからね」

「…ふ」

あいつらしい。

「…なに笑っているんですか」

「ふふ…いや、なんでもないよ。」



…あいつはチョコのように甘くはなかった。


……それはまるで鉄砲玉のよう…―――




END
 

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