短編

□傍にいることを気付いた時は、もう
1ページ/2ページ



綺麗事を言い過ぎてる、と思っていた彼が一番世の中を嫌っていた。

汚い、
醜い、
息苦しい。

そんな言葉が彼の口から出ると思っていなかった。


そしてまた、いつものへら、っとした顔に戻って

『疲れましたね、雲雀さん…』

常人離れしている僕らだからこそ。
この世の中は疲れるのだ。


『うん』


彼は、異常というほどに世界を、運命というものを嫌った。


“普通”を保てなかった者。
“普通”でなかった者

異常な者には世界は酷く息苦しかった。
異常な者には運命というものが分からなかった。


異常な者は縛られるのを極端に嫌う。


それは彼も、
僕も、

同じだった。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ