短編
□傍にいることを気付いた時は、もう
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綺麗事を言い過ぎてる、と思っていた彼が一番世の中を嫌っていた。
汚い、
醜い、
息苦しい。
そんな言葉が彼の口から出ると思っていなかった。
そしてまた、いつものへら、っとした顔に戻って
『疲れましたね、雲雀さん…』
常人離れしている僕らだからこそ。
この世の中は疲れるのだ。
『うん』
彼は、異常というほどに世界を、運命というものを嫌った。
“普通”を保てなかった者。
“普通”でなかった者
異常な者には世界は酷く息苦しかった。
異常な者には運命というものが分からなかった。
異常な者は縛られるのを極端に嫌う。
それは彼も、
僕も、
同じだった。