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□絵本『人柱アリス』
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あるところに小さな夢がありました。
誰が見たのかわからない、それは本当に小さな夢でした。
小さな夢は思いました

『このまま消えていくのはいやだ。
どうすれば人に僕をみてもらえるだろう』

小さな夢は考えて考えて、そしてついに思いつきました。
人間を自分の中に迷い込ませて、世界を作らせればいいと・・・。


【絵本 人柱アリス】


 一番目アリスは勇ましく、剣を片手に不思議の国・・・。

「ここは・・・?」

見回すとそこは見慣れない森だった。

「確か、雷門に・・・」

自分がなぜこんな場所にいるのか、そう考えていると視界にちらっとなにかが映った。

「これは?」

拾いあげるとそれは、赤い宝石が埋め込まれた剣だった。

「なぜこんなものが・・・ッ!誰だ!!」

振り向くとそこには、影山がいた。

「久しぶりだな鬼道・・・」

「影山!どうして貴様がここにいる!?」

「おまえを引き抜きにきたのだよ」

「ふざけんな!あんたとは決別したんだ!」

「それなら仕方ない・・・捕えろ」

すると、影山の後ろからかつての仲間、帝国イレブンが現れた。

「さ、くま?それにみんなも・・・」

「鬼道・・・オマエヲ、捕エル・・・」

「佐久間どうして?く、来るなぁあああ!」

シュパッ!

生温かい何かが鬼道に降ってきた。
なにかと思い、反射的につぶっていた目を開けると、真っ赤な血に染まった佐久間が倒れていた。

「う、うわぁああぁあぁ!!」

 怖くなった鬼道はその場から逃げ去った。
しかし、かつての仲間は次々と鬼道に襲い掛かり、捕えようとした。

鬼道は逃げることに必死になり、襲い掛かってくる仲間を斬り捨てていった。

しばらくして誰も来なくなり安心した鬼道は、自分が走って来た道を振り返ってみた。
するとそこには、真っ赤な道が出来ていた。

「なんでこんなことに・・・」

『きーどーうさん!!』

目のまえに現れたのは、まぎれもなくさっき斬り倒した佐久間だった。

『もう逃げられませんよ?』

「あぁ・・・」

『ずっと俺たちみんな一緒です・・・』

「これもお前らを斬り殺した罪・・・」

『鬼道さん、捕まえた!!』

一番目アリスは勇ましく
剣を片手に不思議の国
いろんなものを斬り捨てて
真っ赤な道を敷いていった
そんなアリスは森の奥
罪人のように閉じ込められて
森に出来た道以外に
彼女の生を知る術はなし・・・。
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