Novel

□便り
1ページ/2ページ



お前が死んでから


あいつは死に物狂いであたしの知識を盗んで
必死についてきた




まったく
お前そっくりだよ。


その頑固さも
その優しさも





あたしでも治せなかった
心の傷を
お前と同じように癒す仲間と



今、海の向こうで
立派に「男」してるよ



あたしらのバカ息子。


あたしゃ、手配書で顔をみたよ。




お前も空からあいつを見てるかい?

ぐびっとビンの底が上になるように勢いよく流し込む酒








(ああ、見ているよ。)



そっと耳元で優しい風が吹いた





「そうかい。」




「Dr.くれは?なにか仰いましたか?」


一番近くにいた自分に声をかけられたのかと思ったのだろう

王らしくないこの国の王がこちらを不思議そうに見る




手配書にもう一度目線を落として

「…ヒッヒッヒッ。なんでもないよ。それより、ドルトン。今日はこの手配書を肴にいっぱいどうだい?」


今日は
呑むにはもってこいの日じゃないかい。


「…今日は忙しかったのでは?…でも、それもいい。あと食べ物は栗ご飯がいい。」


まったく関係ないその口癖も。今日はなんだか海の向こうに向けられているようだ




「ヒッヒッヒッ。」




酒を交わそう。
あたしの気に入りの酒を。





用意する
グラスは3つ。








次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ