小話
□泣き虫の許し
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「ね…ねぇ、スパーダ…」
「あン?なんだよルカ」
「その…スパーダってさ…………いや、やっぱり何でもないや」
「なんっだよそれ!一度言いかけた事は最後までちゃんと言えっつーの!」
「だ…だって…きっとスパーダも…聞いたら怒るだろうし…」
「めちゃくちゃ気になるじゃねーか!俺がそうゆうの嫌いなの知ってんだろ!怒らねェから、さっさと言えっ!」
「もう怒ってるじゃないか…」
「で、何なんだよ?」
「…その…スパーダは、元々『不良少年』…なんでしょ?」
「はァ?まぁ、そうなるんじゃねぇの」
「だから…その……いわゆる『夜遊び』とかもした事があるのかなぁ…って」
「よ…夜遊び…?」
「つまり……女の人と、さ……その…」
「…な……っしてねェよ、そんな事っ!!」
「そ、そうなの…?僕はてっきり…」
「さすがに俺もそこまでは爛れてねーって!つーより、なんでそんな事思ったんだ?」
「だ、だって…やっぱり『不良』の人はみんなそうゆうのを一度は経験してるのかなぁって…」
「あのなぁ…不良をみんな同じだと思うなよ。俺みてぇな義理と正義に厚い男の中の男を、そんな外道な輩と一緒にされちゃあ困るぜっ!」
「そ…それに…、ガルポスで宿屋に泊まった時にも、リカルドの受けてた「サービス」っていうのにすっごく興味深そうだったし…」
「そ、そりゃあお前…思春期の男のロマンだろっ!それは」
「そ…そっか…そうだよね……。………よかった」
「ったく…いきなり何を言い出すのかと思ったら、お前はよ…。思わずヒヤヒヤしちまったぜ」
「だ、だって…!やっぱり気になるじゃないか…!…もし…スパーダが……その…」
「…ルカ……」
「昔…僕達に会う前に……女の人と、さ…」
「…」
「僕だって…会ったばかりの頃は、やっぱり少し怖かったし……もしかしたら、って…思ったって不思議じゃないだろ……!?」
「……なぁルカ、お前は『不良』が嫌いなのか?」
「え…?それは…その、好きでは…ないけど」
「…じゃあ、俺が嫌いか?」
「そ、そんなワケないじゃないか…!いくらスパーダが元・不良少年だったからって、そんな理由だけでスパーダを嫌いになんてなれないよ!それに僕は…!」
「ほらな、結局そんなモンなんだよ、不良か不良じゃねェかなんてな。俺たちの間に、そんな事はこれっぽっちも関係無ぇんだ」
「…スパーダ…」
「昔…どうだったとか、そんなくだらねぇ事気にすんな。そんな理由で、この俺が…お前の事を見捨てるとでも思ってんのかよ」
(ルカを抱きしめる)
「……スパーダ…ゴメン、僕…」
「…いいから、涙拭けって。元はといえば俺の素行の問題なんだからよ。…お前が…そんな顔する必要なんて無ぇんだ」
「……」
「…悪い…俺のせいなんだよな……本当に、ゴメン」
「ううん…君の事を信じられなかった、僕のせいなんだ…」
「…いつまでも泣いてんなって。俺が、辛いだろ」
「……うん…ごめんね…」
「バーカ、お前が謝るところじゃねーって。本当にお前はいつも…泣いてばっかりだよな」
「スパーダだって…泣きそうな顔、してるじゃないか」
「…お前のせいだろ」
「…じゃあ僕だって、君のせいだ」
「…あぁ、そうだな」
「…ごめん、本当に」
「俺も、悪かった。…なぁ、もういいよな?」
「うん…君が僕や周りの人に迷惑をかけてばかりなのは、いつもの事だもんね」
「オイオイ、そりゃひでーな。まぁ本当の事だけどよ…」
「…もう一度、僕の目を見て謝ってくれたら、許すよ」
「って、まだ言わせんのかよ!まぁ、お前に許してもらえるんなら、俺は何だってしてやるけどな」
「本当?」
「男に二言はねーよ」
「…ありがとう。嬉しいよ、スパーダ」
「ああ。俺もだ」
『ルカ ごめんな 許してくれよ』
end.