佐鳴
□【未完】
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「はぁ……はぁ…」
体中の酸素を逃がさないようにと、必死に肩で息をする。
汗がツーっとナルトの頬を伝い、そのまま地面へ雫を落とす。
「……よし!」
そう決意したように言うと、今まで立ったまま屈むように膝に手を付いて支えていた体を、通常の位置へと戻してゆく。
尚も息は荒いではいたが、そんなに休んでいる暇はない。
そうして、ナルトが集中するように目を閉じ、印を結んだ時だった。
「そこまでにしておけ」
ふいにかけられたその声のした方向に振り向いて、ナルトは不満気な声をあげる。
「ちぇ、もう少しだったのによぉ」
『』
一面の野原の上で、都合よく見つけた木陰の中で身を転がしてみる。
直前までずっと修行をしていただけあって、倒れてからほんの数分で彼は眠りに付いていた。
風でさわさわと揺れる草のくすぐったさで目を覚ましたナルトは、ゆっくりと体を起こさせると、自分より少し離れた池の上で何やら巻物らしいものに目を通している人物へ声をかけた。
「エロ仙人!! もう大丈夫だってばよ。続きやろうぜ」
その声を聞いた自来也は、巻物から目を離さないまま少し呆れた声で言う。
「馬鹿もん。お前の体力とわしを一緒にするなってのォ」
そう言う自来也の体には、ナルトほどではないものの、無数の小さな傷が付いていた。
彼らが、そこまで高度な修行をしているという証拠である。
「第一、お前の『体力』は回復したかもしれんが、お前の『体』はもう限界に近いだろのォ」
ナルトの体…中でも得に酷い腕の部分を見ながら、自来也は呟く。
「別に大丈夫だってば………イテッ!」
その自来也の言葉を否定しようと腕を振り回してみせたナルトだが、途端に起きる鋭い痛みに顔を歪ませる。
「そんな体で無理に修行を続けたら腕を壊しかねんのォ。しばらくは我慢するんだな」
またもや舌打ちをして悪態をつくナルトを見ながら、自来也は苦く微笑むのだった。
ふと空を見上げてみれば、修行を始めたのは朝早くだったというのに、空はもう明るさを失いかけていた。