07/23の日記

01:35
サスケ誕お祝い文(仮)
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『じゃあ、約束な』


それは、年に二回。二人だけの合い言葉のようなものだった。






「…ナルト?」

「……え、…?」

「大丈夫?ずっと何か考えていたみたいだけど」

「あ、あぁ。…平気だってばよ。ありがとなサイ」

「……君も、今日はもうそろそろ帰った方がいいんじゃない?」

「へ?」

「サクラも、今さっき帰ったんだ。何でもないって言ってたけど、僕にはそうは見えなかったからね」

「そ、っか…」

「………、僕には、君達の事は何もわからない。けど、君が今、何を考えていたのかくらいは聞いてもいいかな?」

「…あぁ。…約束、守れてなかったなって思ってよ…」

「……約束?君と、…サスケが?」

「うん。多分、約束…なんだと思う」

「…?ずいぶん曖昧なんだね」

「まぁ、その場の流れみたいなので決めたやつだったし。それでも…オレはまだ覚えてる」





決められたのは、ある秋の日。
朝から、里には亡き英雄を弔う鐘の音が、休むことなく響いていた。

「…」

自分には、既に存在を認めてくれる仲間が居る。何を恐れることもない。きっと、いつものように図々しく姿を現せば、皆一様に祝福してくれるだろうとは思っていた。
それでも、やっぱりその日ばかりは、極力外に…人の目の当たる場には出るべきではないのだと、ナルトは誰に言われるともなく理解していたのだ。

「…腹減った。ラーメン…」

「今日くらいはマシな食事を採ったらどうだ?」

「………へ、」

嫌というほど聴き覚えのある声が、すぐ隣から聞こえた気がした。出来るなら思い違いであって欲しいと願ったが、ゆっくりと振り返った先には、
想像通りの人物が、いつも通りの姿で、当たり前のように立っていた。


「っさささサスケっ!?んな、なっ、なんで勝手に人の家の中に入ってるんだってばよっ!?!」

「ドベ。何回も声をかけたしノックもした。お前が何も反応しないから仕方なく入っただけだ」

「っだ、だからって…よっ、!」

まずい。いや、何が特別悪いというわけはないのだが、一応、今日だけは誰の目にも触れずに過ごそうとナルトは心に決めていたのだ。
それを、まさかこいつと、自分の部屋で二人きりの状態になるだなんて、予想すらしていなかったわけで。
…というより、誰がどう考えたって不自然なはずだ。

「…で、な、何しに来たんだってばよ…」

ナルトには、わざわざサスケに家まで訪ねられるような心当たりはひとつも無いのだ。
…まさか、それこそまさかだ。他人にまったく関心の無いはずのこいつに限って。

「…さっきも言っただろ。別に、家の中にまで入るつもりは無かったんだ」

「…?じゃ、じゃあ…何だってばよ」

「…、今日、里で姿を見なかった。どうしてだ?」

「え………、…その」

「お前の事だから、どうせくだらない事でも考えて身を隠してるんだろうと思った。…だから来た」

「…それ、で…」

「………会えて、よかった」

「………!?」

今、なんと言った。あのサスケが。常に仏頂面のあの顔を気まずそうに伏せながら、常に嫌味しか吐かないあの口で。

「っな、何、言って…」

「…孤独になろうとしなくていい」

「!」

「お前も、俺も…、居場所がある。わざわざそこから離れるようなことはするな。…それだけだ」

「っちょ、待」

ああ、ようやくわかった。俺だって手放したくなんかない。また、逃げて、離すわけにはいかない。
みんなも、お前のことも。

「サスケ!待てって…俺も、言う!」

「…は?」

「……さんきゅ。すげー嬉しかった。ありがと」

「…!」

「だから、さ。俺も、お前の誕生日に言いたい。…さっきの」

「…」

「…」

「…別に、好きにしろ」

「……へへ。じゃあ、約束な」

サスケが何故だか、俯いて顔を背けながら答えた。オレは、なんだかすごく嬉しくて微笑んでしまった。



「今日の19時。サクラ達が焼き肉Qで会を開くそうだ。遅刻厳禁だぞ」

「おう!」






まだ、伝えていない、伝えられなかった言葉。
今のお前にはもう届かないと知ってる。あんな小さな約束を、お前がまだ覚えているのかもわからない。
それでも、

「…会えてよかった…」


おめでとう。ありがとう。

約束は絶対守るよ。来年は、絶対に。



 

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